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胃粘膜下腫瘍の考え方と対応

No.4724 (2014年11月08日発行) P.42

杉山敏郎 (富山大学消化器造血器腫瘍制御内科教授)

登録日: 2014-11-08

最終更新日: 2016-10-26

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15年以上前に医学部を卒業した医師は,独特の内視鏡形態(bridging fold)を示す胃粘膜下腫瘍は平滑筋腫の頻度が高いため,出血があったり,巨大でなければ,必ずしも直ちに治療を要しないと理解していたであろう。2000年頃から粘膜下腫瘍の考え方が大きく転換し,3cmを超える胃粘膜下腫瘍の80%が消化管間質腫瘍(GIST)であることが明らかにされた。加えて,GISTに対して著しい治療効果が期待できる新規分子標的治療薬の登場も疾患の考え方の変遷に寄与した。
GISTは消化管カハール介在細胞(ペースメーカー細胞)由来腫瘍で,従来の病理診断にかかわらずKIT蛋白が陽性であればGISTと診断される。欧米ではGISTと診断されると直ちに治療が推奨されるが,これは症状があって内視鏡検査で発見されるからであって,通常は5cm以上で発見される。したがって,この考え方を検診内視鏡で無症状下に発見される日本人の小さい胃GISTに直ちに当てはめることは「過剰診療」を招きかねない。
GISTと診断されても原発臓器により増大速度,転移リスクは大きく異なることが明らかで,小さい胃GISTのリスクは通常はきわめて低い(文献1)。胃粘膜下腫瘍の診断には上記の理由から組織診断が不可欠であるが,5cm程度までは定期的な経過観察も可能で,特に悪性度リスクの低い場合は経過観察でもよい。ガイドラインのフローチャートのみを見て治療方針を決定するマニュアル医師が増加しているが,疾患の本質を理解し,患者のQOL,医療費なども考慮する時代となっている。

【文献】


1) Joensuu H, et al:Lancet Oncol. 2012;13(3):265 -74.

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