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保険診療におけるピロリ菌感染胃炎

No.4716 (2014年09月13日発行) P.48

杉山敏郎 (富山大学消化器造血器腫瘍制御内科教授)

登録日: 2014-09-13

最終更新日: 2016-10-26

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2013年2月からピロリ菌(Hp)の除菌適応が拡大され,Hp感染胃炎患者すべてが保険診療下で除菌が可能となった。国民総除菌時代である。目的は,Hp感染胃炎を基盤として発症する疾患を包括的に予防するためであり,特に胃癌の予防効果を期待しての拡大であることは明らかで,世界に先駆けた社会的実験である。他方で,除菌治療に「縛り」があって,実地医家にとっては煩雑であることも事実である。
まず,上部消化管内視鏡検査で慢性胃炎の存在を確認した後,Hp感染診断を行い,陽性であれば除菌治療を実施する,と順序が決められている。なぜ,最初に内視鏡検査による慢性胃炎の診断を求めているのであろうか。内視鏡に基づく慢性胃炎の診断は,成因論に立脚して胃炎を考える今日では時代に逆行した診断である。慢性胃炎の古典的内視鏡分類は,表層性胃炎,萎縮性胃炎,肥厚性胃炎である。たとえば表層性胃炎では約半数はHp陰性であり,萎縮性胃炎では大部分がHp陽性である(例外は自己免疫性胃炎)。いずれにせよ,内視鏡所見によるHp感染診断を求めているのではなく,また,内視鏡所見のみから感染診断することも勧められる方法ではない。したがって,内視鏡後にしっかりとした感染診断を求めている。
このように考えると,最初に内視鏡検査を求めている真意はほかにあると考えるべきである。無症状の早期胃癌などのないことを確認した後に除菌治療を行う,あるいは,除菌治療を行う場合には,せめて内視鏡ぐらいは実施して下さいね,との意図が垣間見える。高騰する医療費抑制には,以上の順序を逆にしたほうが効果的では?と考える医師も多いのでは,と想像するが……。

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