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尋常性白斑に対する診断治療ガイドライン

No.4707 (2014年07月12日発行) P.55

片山一朗 (大阪大学皮膚科教授)

登録日: 2014-07-12

最終更新日: 2016-10-26

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尋常性白斑は後天性の脱色素斑の中で最も頻度が高く,治療抵抗性で,再発頻度も高い難治性の疾患である。発症部位により患者のQOLを著しく低下させ,社会活動も障害することから,尋常性白斑の治療に関しては欧米でのガイドラインに加え,最近日本皮膚科学会からも治療ガイドラインが提示された(文献1)。
世界的には尋常性白斑に対する治療の主体は副腎皮質ホルモン外用療法,ナローバンドUVB照射,エキシマランプなどの光線療法であり,難治例には皮膚移植,カムフラージュなどが適用される。新しい治療法として,カルシニューリン阻害軟膏の有用性に関して近年エビデンスレベルの高い報告がみられるが,活性型ビタミンD3に関してはその評価はわかれており,現在,筆者らも含めて,その作用機序や適用基準の検討が行われている。
ビタミンD3はMITFなどのメラニン色素合成のマスター遺伝子の活性化を誘導することが知られているが,単純塗布で色素の増強がみられることはなく,紫外線の生物作用の増強効果などが考えられている。C-Kitの誘導,角化細胞からのエンドセリン-1の誘導,Th17細胞の抑制作用などの機序を示唆するデータを得ており,今後検討していきたい。最近,欧米およびわが国の研究者らにより新たな分類,治療効果判定基準が策定されている(文献2)。

【文献】


1) 鈴木民夫, 他:日皮会誌. 2012;122(7):1725-40.
2) Ezzedine K, et al:Pigment Cell Melanoma Res. 2012;25(3):E1-13.

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