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肺癌の新規分子標的薬

No.4704 (2014年06月21日発行) P.59

弦間昭彦 (日本医科大学呼吸器内科教授)

登録日: 2014-06-21

最終更新日: 2016-10-26

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2002年のゲフィチニブ承認,2004年のEGFR遺伝子変異発見から10年以上が経過し,わが国では,2013年にエルロチニブがEGFR遺伝子変異陽性肺癌の初回治療に適応拡大され,EGFR遺伝子変異陽性肺癌の個別化医療が進展している。2014年1月には,次世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)アファチニブが承認された。
アファチニブは耐性2次変異T790MおよびErbB受容体ファミリーを不可逆的に阻害する。LUX-Lung3試験では,初回治療においてアファチニブ群では,シスプラチン/ペメトレキセド群と比較して,無増悪生存期間(PFS)が有意に改善した(11.1カ月対6.9カ月)。今後はこれらのEGFR-TKIをどのように使いわけるかが臨床上の問題となっている(文献1)。
2007年,EML4-ALK融合遺伝子が発見され,2012年にはALK阻害薬クリゾチニブが承認された。第2世代ALK阻害薬として,CH5424802(アレクチニブ),LDK378などが開発中である。
アレクチニブは,MET阻害薬として開発されたクリゾチニブに比べ,選択的でより強いALK抑制効果を有し,耐性2次変異に対しても効果を有する。国内で施行されたAF-001JP試験(第Ⅰ~Ⅱ相試験)では,化学療法前治療歴のある ALK陽性肺癌において,奏効率94%,1年PFS 83%と良好な抗腫瘍効果が得られた(文献2)。今後,これらの新規分子標的薬の登場により,新たなステージに突入することとなる。

【文献】


1) Sequist LV, et al:J Clin Oncol. 2013;31(27): 3327-34.
2) Seto T, et al:Lancet Oncol. 2013;14(7):590-8.

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