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胃底腺ポリープと胃癌の関係

No.4770 (2015年09月26日発行) P.65

中村真一 (東京女子医科大学消化器病センター 消化器内視鏡科教授)

登録日: 2015-09-26

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

胃底腺ポリープはHelicobacter pylori(H. pylori)非感染者に多い所見ということになっていますが,実際,胃底腺ポリープに胃癌を合併した例を見たことがありません。統計上,胃底腺ポリープの所見があれば胃癌になりくいと言えるのでしょうか。 (千葉県 K)

【A】

「胃底腺ポリープはH. pylori非感染(検査時点で感染していない)の胃にみられる。すなわち,胃底腺ポリープは,胃癌になりにくい胃の所見であり,胃癌を併存する可能性はきわめて低い」というのが素直で常識的な見解と考えます。
胃底腺ポリープはH.pylori感染に起因しない病変/所見とされており,上村ら(文献1)は胃底腺ポリープと胃癌症例の背景因子を比較検討し,両者は対照的であると報告しています。小林ら(文献2)は,胃底腺ポリープ患者のH.pylori陽性率は3.75%であり,胃粘膜萎縮のないものが95.0%と高率であると報告しています。一般に,H.pylori陰性者の胃癌の発症頻度は0.7~3.1%と報告されていますが,実際はもっと低いように思われます。最近,H.pylori未感染(一度もH.pyloriに感染したことのない)の胃に発生した胃底腺型胃癌や特異な印環細胞癌が注目されていますが,その頻度はきわめて低いと思われます(文献3)。
注意すべきは,H.pylori非感染にH.py-lori未感染とともに,H.pylori除菌例(除菌治療例と自然除菌例がある)も含まれており,H.pylori除菌後の胃にも胃底腺ポリープが発生しうることです(文献4)。H.pylori未感染であれば,前述のように胃癌の心配はほとんどありませんが,今はH.pylori非感染でも,かつてH.pyloriが存在していた除菌例では胃癌発生のリスクがそれなりにあることは推察できます(実態は不明)。
近年,胃底腺ポリープにもβカテニンの遺伝子異常を認めることから腫瘍性の可能性を示唆する報告もありますが,現実的には胃底腺ポリープ自体の癌化はきわめて稀と考えるのが妥当でしょう(文献3)。また,プロトンポンプ阻害薬の長期投与によって,胃底腺ポリープの発生,数の増加や形態の増大(水腫様変化)が報告されており,ガストリンやアクアポリンとの関連が検討されています(文献5)(なお,本回答では家族性大腸腺腫症の胃底腺ポリープや特殊例は除く)。

【文献】


1) 上村直実,他:Gastroenterol Endosc. 1993;35(11):2663-71.
2) 小林 隆,他:胃と腸. 2006;41(7):1077-81.
3) 八尾隆史,他:胃と腸. 2014;49(6):874-80.
4) Okano A, et al:Dig Endosc. 2008;20:41-3.
5) 菅原通子,他:Gastroenterol Endosc. 2009;51(8):1686-91.

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