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合併症の多いむずむず脚症候群 患者の治療

No.4716 (2014年09月13日発行) P.61

平田幸一 (獨協医科大学神経内科教授)

登録日: 2014-09-13

最終更新日: 2016-12-12

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【Q】

以下のような既往歴のある患者の突然のむずむず脚症候群(restless legs syndrome :RLS)の治療について。胃筋腫により胃3/4切除,前立腺肥大症(10年前から),脊柱管狭窄症(7年前)による歩行障害,腰痛症がある。
内服薬は,毎食後:ムコスタ,ナウゼリン,セレナール。朝:タケプロン。晩:リリカ,ビ・シフロール,マイスリー。疼痛発作のときはロキソニン,ムコスタ,デパスを内服している。このような状況で,以下についてを。
(1) RLSは治らないのか。
(2) 疼痛発作の頻度について。治療をしても,疼痛発作は週2~3回くらい起こるものか。
(3) ロキソニンの頓用,リリカの併用をしているが,ほかに有効な薬があれば。
(4) ほかに理学的治療やレーザーなどの治療法を。 (福井県 A)

【A】

RLSの認知度は上がり,効果の優れた薬剤が発売されている。一方,二次性RLSや非定型的なRLS(RLS mimics)では診断に苦慮することがあるばかりか,治療が困難なことが多い。以下,各項目に答える。

(1)RLSは治らないのか
一次性RLSは機能性疾患なのでしばしば自然に寛解,あるいは治ることもある。また,二次性RLSも原疾患治療により寛解する。
また,痛みを伴う一次性RLSは確かに存在する。したがって,この症例がRLSではないとは断言できないが,胃3/4切除,脊柱管狭窄症(7年前)による歩行障害,腰痛症があることから一次性RLSかどうかは疑問が残る。RLSの診断は問診により,診断基準の必須4項目(表1)を満たしているかどうかが問題となる(文献1)。また,RLSが突然発症という点も気になる。

(2)疼痛発作の頻度
一般的に,一次性RLSの発症頻度はわが国では2~4%とされている。
一次性RLSで重症度が高い場合は,週2~3回の発作は十分ありうる。しかし,本例の場合,前述した二次性RLSや非定型的なRLSが考えられ,症状は原疾患に依存して生じている可能性がある。

(3)ほかの有効な治療薬
一次性RLSならば,ロキソニンの頓用がビ・シフロールの効果に優ることは考えづらい。リリカと似たガバペンチンのプロドラッグであるガバペンチンエナカルビル(レグナイトR:600mg夕食後,腎障害例には300mg)が痛みの強いRLS症例,不眠症や不安障害の合併例に特に有効であるため,この投与も考慮される(文献2)。また,胃3/4切除によるRLSを考えると,基本的にまず血液検査を行って鉄欠乏を調べ,血清フェリチン値が50ng/L未満の場合,鉄剤の補充を行う。

(4)理学的治療
非薬物療法として睡眠衛生の改善,たばこ・カフェインやアルコールを控えること,軽い運動(激しい運動は避ける),下肢のマッサージ,入浴が効果的である。

【文献】


1) Hirata K, et al:Brain Nerve. 2013;65(10):1185-97.
2) Hirata K, et al:Brain Nerve. 2013;65(11):1391-9.

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