株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

プライマリケア評価の試みに期待する [お茶の水だより]

No.4769 (2015年09月19日発行) P.12

登録日: 2015-09-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

▼厚生労働省が8日に公表した「受療行動調査」結果によると、病院の患者の満足度が最も高い項目は外来、入院共に「医師以外の病院スタッフの対応」だった。「医師との対話」「医師による診療・治療内容」は次点にとどまり、僅差ではあるが、医療そのものへの満足度が、スタッフの接遇より低い結果となった。
▼以前聞いた「今時インフォームドコンセントと全く違うことをする医者」のエピソードを思い出した。しかし流行っているのだ。患者が渡される紙には「私は質問には答えません。相談も受けません。診察室に入る時は『お願いします』、出る時は『ありがとうございました』と言いなさい」とある。患者は侮辱的な扱いを受けようが、「治してほしくて」来るのだという。
▼「治せる」は医療サービス(主に急性期)の核心である。しかしその核心部分の情報が少ないため、患者は「あそこはにこにこして丁寧」といったことで評価・選択してしまう。そうした状況は今も、特に診療所では大きく変わっていないのではないか。
▼「食べログ」のカカクコムが、医療機関の口コミ採点サービスを始めるという。近くパイロット事業が始まる東京・世田谷で開業する松村真司氏を中心に、日本プライマリ・ケア連合学会が、診療所が提供する医療サービスを評価するプロジェクトを始動している。評価指標は客観性の高い、医療のプロセス、アウトカムに関するものが主体。院内看護師を調査者とし、レセプトや診療録、患者サーベイを基に(1)幅広い/標準的診療、(2)アクセス、(3)コミュニケーション、(4)連携、(5)患者背景の考慮─の5領域・42項目で自己評価を行い、改善点を見つけ、患者利益につなげることを目指す。現時点では情報の公開を前提としていないが、質の高い情報は、患者の選択や医師同士の連携にも資する。本格稼働に期待したい。

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top