株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

「医療は悲しみの“分かち合い”」 [神野直彦氏]

No.4809 (2016年06月25日発行) P.14

登録日: 2016-06-25

最終更新日: 2016-12-07

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「医療費抑制は結果であって目的ではない」─。全国公私病院連盟が17日に開いた定時総会で、経済学者の神野直彦東大名誉教授(写真)は財政学からみた社会保障について講演した。
神野氏は「人間は家族や友人などコミュニティーの中で存在する」とした上で、「市場は悲しみを“分かち合う”コミュニティーの中ではなく、コミュニティー同士で欲望を“奪い合う”ことで形成される」と述べた。
神野氏は今の医療政策について、「欲望の“奪い合い”で市場を拡大しながら医療費抑制を目指しており、これは目的と結果を取り違えている」と指摘。税方式の社会保障体制をとっているために医療費がほとんどかからないというスウェーデンを例に挙げ、「医療はあくまで国民の基礎的ニーズを満たすものであり、悲しみの“分かち合い”として国民が負担し合った税で保障していくことで、結果的に医療費は抑制されていく」と強調した。


関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top