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「管理者要件に特定地域・科の診療」を厚労省が提案 [自由開業・標榜見直しも]

No.4801 (2016年04月30日発行) P.9

登録日: 2016-04-30

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厚生労働省は20日、医療機関の管理者・開設者の要件に特定の地域や診療科で一定期間診療することや、自由開業・自由標榜の見直しの検討を盛り込んだ医師偏在対策の中間報告案を有識者会議に提示した。
中間報告案が示されたのは、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」(森田朗座長)と「医師需給分科会」(片峰茂座長)の合同会議。
中間報告案では、特定の地域や診療科で診療に従事したことを臨床研修病院・地域医療支援病院や診療所の管理者・開設者の要件にすることの検討を提案。将来的に医師偏在が続く場合、既に十分な数がある診療科の診療所の開設は「保険医の配置・定数の設定や、自由開業・自由標榜の見直しを含めて検討」との文言も盛り込まれた。
来年4月の開始を巡って議論が行われている新専門医制度については、医療計画での専門医等の定員の調整や、地域における調整を行う国・都道府県の権限の明確化、診療領域ごとの専攻医募集定員の地域枠設定などを検討事項に挙げた。医師の養成については、効果検証に基づいた医学部地域枠や臨床研修募集定員数の倍率の一層の縮小の検討などが盛り込まれた。このほか、(1)出身大学など医師や医師の診療行為情報のデータベース化、(2)都道府県の地域医療支援センターと大学が医師のキャリア形成・異動を生涯把握する仕組み、(3)いわゆるフリーランス医師への対応─なども列挙している。

■17~19年度の医学部定員増「慎重に」
中間報告案では、遅くとも2033年頃には医師の需給は均衡するとの推計に基づき、医師養成数の方針も提示。2008年度からの「新医師確保総合対策」や09年度からの「緊急医師確保対策」は医師不足の地域・診療科を対象とする仕組みであることから当面延長を提案。一方、「経済財政改革の基本方針2009」と「新成長戦略」に基づく10~19年度の医学部定員増については、今後の17~19年度の定員増は「慎重に精査すべき」として、16年度の定員9262人を維持する方針を示している。

【記者の眼】
厚労省の神田裕二医政局長は医師偏在対策のメニューについて、医師需給分科会での議論や医療関係団体の意見、「保健医療2035」の提言を反映したと説明した。日本医師会と全国医学部長病院長会議が昨年12月に発表した医師偏在解消の緊急提言では、すべての医師の異動を生涯にわたって大学が把握する制度や、診療所・病院の管理者の要件に医師不足地域の勤務経験を導入することなどを提案。自由開業・自由標榜の見直しや保険医の定数配置は「保健医療2035」に盛り込まれている。(K)

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