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医師法21条改正案に疑問相次ぐ [日本医療法人協会シンポジウム]

No.4799 (2016年04月16日発行) P.13

登録日: 2016-04-16

最終更新日: 2016-11-30

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日本医療法人協会は2日、都内でシンポジウムを開催し、日本医師会が2月に公表した医師法21条改正案について議論した。改正案では「死体を検案して“犯罪と関係ある”異状があると認めた時は、24時間以内に所轄警察署に届け出る」と、 “犯罪と関係ある”を追記することや、罰則の削除を提案している。
医師で弁護士の田邉昇氏(写真)は、2004年に最高裁が『医師法21条にいう死体の検案とは、医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること』との判断をし、「外表異状が要件であることを宣言した」と紹介。それ以前は、医療過誤が異状の要件になると医師法21条は自己に不利益な供述の強制を禁止する憲法38条に違反するとの法学者の指摘があったものの、外表異状を要件にすることで、届出人と死体の関わりなど、犯罪行為を構成する事項の供述まで強制されなくなり、「黙秘権侵害にあたらないという解釈を示した」と説明。その上で、医師法21条は医療過誤が要件ではなく、診療関連死が含まれる可能性は低いことから、「改正の必要があるのか」と疑問を呈した。
このほか、日本医療法人協会の小田原良治常務理事は、 “犯罪と関係ある異状”とすると業務上過失致死傷罪も含まれてしまうことから、届出対象が拡大する可能性を指摘し、「日医改正案は大変問題がある」と反対した。

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