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特定健診、予防接種、預金口座も連結 - 年金情報の紐づけは延期 [マイナンバー制度]

No.4768 (2015年09月12日発行) P.7

登録日: 2015-09-12

最終更新日: 2016-11-24

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(概要) マイナンバー制度の利活用範囲を特定健診データ、予防接種履歴、預金口座にも拡大することを盛り込んだ改正マイナンバー法が3日、衆議院本会議で可決、成立した。

改正法の成立により、2016年1月以降行政がマイナンバーで管理できる情報に、特定健診データ、予防接種履歴、預金口座が順次追加される(別掲)。
なお日本年金機構の情報流出を受け、同改正法には、マイナンバーに基礎年金番号を紐づける時期を、当初の2016年1月から最大1年5カ月延期する修正が加えられた。年金機構は当面の間マイナンバーの利用・情報照会などを行わない。

●保健行政の効率化に期待
マイナンバーは原則として一生涯変わらない。特定健診データが紐づけられることで、被保険者が転職・転居で保険者を異動してもデータを引き継ぐことができるようになる。データの断絶がなくなることで、健診受診者への保健指導が効率的に実施可能になると期待される。
17年7月以降、自治体および保険者はマイナンバーを用いた情報連携を開始し、転居した世帯の情報も円滑に引き継げるようになる。マイナンバーで予防接種履歴を管理することで、接種対象年齢の乳幼児のいる世帯に正確に通知を送付でき、ワクチン接種率の向上につながると考えられる。

●口座付番、将来は義務化も
金融機関は18年1月以降、個人の金融資産情報をマイナンバーで検索できる状態で管理し、本人同意があれば口座にマイナンバーを付番する。行政は税務調査などの際に、個人の所得だけでなく口座残高や出入金先も正確に把握できるようになる。
口座への付番はあくまで任意だが、改正法には施行3年後をメドに見直すとの規定がある。麻生太郎財務相も「義務がなければ普及しないとの指摘は承知している」と述べており、将来的には義務化される可能性がある。

●匿名加工で第三者提供が可能に
3日の衆議院本会議では、改正マイナンバー法と共に、改正個人情報保護法も成立した。
同改正法により、特定の個人を識別できないよう加工した個人情報(匿名個人情報)であれば、本人同意なしに第三者提供が認められるようになる。ビッグデータの利活用促進を目的とした規制緩和だ。ただし、病歴、犯罪歴、社会的身分などは、取得の際に本人同意を義務づける「要配慮個人情報」とされ、規制緩和の対象には含まれない。
一方、匿名個人情報の範囲に関する規定については、来年1月に発足する第三者機関「個人情報保護委員会」が決めることになっており、医療機関・介護施設で取り扱う情報の中で該当するものがないか注意する必要がありそうだ。

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