診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は8月21日、入院時の食事療養などを巡り議論した。入院時の食費の基準額は2024年6月に30円、25年4月に20円と2段階で引き上げられたが、その後も食材料費の高騰は続いており、医療関係者の委員からは「給食部門の赤字環境に変わりはない」との声が上がった。
厚生労働省のデータによると、食費基準額の引上げを受けた医療機関の対応は、初回の引上げ後と2回目の引上げ後で大きな差はなく、全面委託の場合は「給食委託費を増額した」、一部委託や完全直営の場合は「給食の内容を変えて経費の削減を行った(食材料を安価なものに変更等)」がそれぞれ約5割を占め、最も多かった。また、全面委託の医療機関の約7割、一部委託の医療機関では約5割が、委託業者から値上げの申し出があり、契約変更に対応していた。
議論では津留英智委員(全日本病院協会常任理事)が、食材料費の高騰や給食委託費の値上げで二度の食費基準値の引上げ後も病院の給食部門が赤字である状況には変わりがないと説明。その上で、「国民や患者は病院給食が赤字で提供されている事実を知らないと思う。26年度の診療報酬改定時には改定財源とは別に患者にもご理解いただいて一部自己負担をお願いすることも選択肢の1つではないか」と提案した。
同日は療養病棟についても意見を交わした。「療養病棟入院基本料」は前回改定時に医療区分について、疾患・状態の医療区分と処置等の医療区分に分割する見直しが行われ、評価が細分化された。改定後は「療養病棟入院料1、2」ともほとんどの施設が医療区分2、3の該当患者割合の基準を満たしており、「入院料2」(基準値5割以上)は95.5%の施設において、該当患者割合が6割を超えていた。
これら施設の中には「入院料1」の基準値の8割を超える施設もみられることから、中野惠委員(健康保険組合連合会参与)は、「そもそも入院料を2つに分ける必要があるのか。少なくとも入院料2を5割以上とする基準は実態からみて妥当性に欠けるのではないか」との見方を示した。