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急性心筋梗塞疑いの患者が帰宅後に急死[〈今日使える〉死亡診断書・死体検案書の書き方・考え方〜当直・在宅・事故(11)]

No.5287 (2025年08月23日発行) P.36

監修: 久保真一 (福岡大学名誉教授)

執筆: 井濱容子 (横浜市立大学医学部法医学教授)

登録日: 2025-08-25

最終更新日: 2025-08-19

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【症例】

73歳,男性。高血圧と糖尿病で通院中の患者。

昨日の午前8時,定期通院の際に胸部不快感の訴えがあったため,心電図ならびに心エコー検査を実施した。検査結果からは急性心筋梗塞が疑われたため,速やかに循環器専門医療機関を受診するように話したが,本人は「週末に法事があるので週明けに行く」と頑な態度であった。とりあえず,紹介状を持たせて,容態が変化したときは,救急車を呼ぶよう指示して帰宅させた。

翌日,午後6時に警察から「昨日,先生の診療所を受診した患者が,今日午後3時に,自宅において家族の前で急に意識を消失して心肺停止となり,救急搬送されたが死亡した。死後CTが施行されて心タンポナーデと診断されたが,搬送先の病院では生前の状態がわからないため,死亡診断書は書けないと言われた。主治医である先生に,死亡診断書を書いてもらえないか」と電話があった。

死者は高血圧と糖尿病で10年ほど通院しているが,コンプライアンスが悪く,血圧も血糖値もコントロールは不良であった。前日の検査結果を考えると,死後CTで確認された心タンポナーデは,急性心筋梗塞に起因する心破裂によるものとして矛盾しない。

そこで,改めて死後の診察(検案)を行い,死亡診断書を発行した。

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