【質問者】
山田実貴人 中部国際医療センター副病院長/救急部門長
【中毒に対する血液浄化は血液透析(HD)が第一選択になる】
中毒診療に関しては,2023年7月に日本中毒学会より「急性中毒標準診療ガイド」が発刊されました1)。実際の臨床現場では,このガイドを参考にしている施設が多いと推察されます。
中毒診療の原則としては,“中毒物質の排泄促進”が挙げられており,そのひとつとして血液浄化療法があります。このガイドの内容からすると,集中治療室では急性血液浄化として持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)がよく行われていますが,中毒物質の除去効率という点を考えると,より効率の良い間欠的な血液透析(hemodialysis:HD)が第一選択となります。
過去には,活性炭の入った血液浄化フィルターを用いて毒物を吸着させる方法(直接血液灌流法)も用いられていましたが,活性炭フィルターは高価であり,入手が困難なことなどから,本邦の現状では施行数が激減しているため,標準的な治療とは言えません。
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