筆者は次のような手術適応を提唱している1)。①繰り返す頭位性めまいにより日常生活に支障をきたしている,②6カ月間,適切な頭位変換療法を繰り返してもめまいが消失しない,あるいはいったん消失してもしばしば再発する,③病巣となる半規管が同定でき,かつ同一である,④中耳に炎症所見がない,⑤唯一聴耳でない。実際に手術が実施されたものは,BPPV全体の0.23%である2)。
半規管遮断術に関する8編(196例)の論文を対象としたsystematic reviewがある3)。それによると,頭位性めまいは術後全例で消失した。合併症として,軽度感音難聴が15%(8例)に,高度感音難聴は1%(2例)に認められた。また,筆者が渉猟した限り手術がなされた半規管における再発の報告はないが,同側他半規管における発症が6%(32例中2例)にみられたとの報告がある4)。
【文献】
1)瀬尾 徹:耳鼻臨床. 2015;108(4):264-5.
2)吉波和隆, 他:Equilibrium Res. 2009;68(4):193-8.
3)Maas BDPJ, et al:Otolaryngol Head Neck Surg. 2020;162(1):40-9.
4)Kisilevsky V, et al:J Otolaryngol Head Neck Surg. 2009;38(2):212-21.
瀬尾 徹 (聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院耳鼻咽喉・頭頸部外科教授)