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【識者の眼】「在宅医療情報連携は広まるか」土屋淳郎

No.5242 (2024年10月12日発行) P.62

土屋淳郎 (医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)

登録日: 2024-09-25

最終更新日: 2024-09-25

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2024年7月20〜21日に開催された第6回日本在宅医療連合学会大会では、多職種連携委員会ICT-WGとして「ICTを用いた多職種連携の現状と課題〜診療報酬改定でICTの利用は広まるか?〜」というテーマでシンポジウムを行った。筆者としては以前の本連載「診療報酬改定と在宅医療DXの推進」(No.5218)でも書いた通り「医療DX推進や在宅医療における医介連携に関しては今回の改定で大きく進むことは間違いない」と考えていたが、実際にはそう甘くはないという印象を受けた。

在宅医療情報連携加算のほかにもオンライン診療や、Web会議システムを利用した退院時カンファレンスでも診療報酬の算定は可能であり、状況に応じて適切なシステムを利用することで医療介護の連携が進むと考えらえる。一方で、複数の多職種連携システムを医療機関に合わせて利用せざるをえないことも多い訪問看護ステーションではその手間が多く、平均年齢が53歳(60歳以上が25%以上)のケアマネジャーでは、なかなかICTを使いこなすのが難しいという側面もある。ICTは苦手でも切羽詰まってきている状況があり、連携は進めざるをえないが、介護現場では報酬単価が上がらず人手不足で労働生産性は上がっていないという状況もある。それを解決すべくRPA、SNS、AIなどを利用して働く人に合わせた仕組みづくりを行い、単価を上げたり省力化したりと一歩進んだ取り組みの発表があったことは未来への希望だが、現実はなかなか厳しいものがあると感じた。

実際に医療機関での利用も進んでいないようで、在宅医療情報連携加算の算定状況をわかる範囲で確認してみると、在宅医療を行っている医療機関約3万件のうち9割の医療機関で在医総管等を算定しているが、そのうち8.3%の医療機関しか在宅医療情報連携加算の届出をしていないという状況のようだ。施設基準、算定条件とも通常の多職種連携をしていればそれほど困難ではないと考えていたのだが、介護事業所の足並みがそろわず連携事業所が5カ所に満たないなどにより、条件のクリアが困難といった状況があるのだろうか? それとも生活習慣病管理料への対応が優先され、在宅医療情報連携加算の存在自体を知らないといった状況があるのだろうか?

さて、2024年10月5日に全国医療介護連携ネットワーク研究会第18回全国大会を開催する。厚生労働省や東京都の行政、現場の医師の講演に加え、医療DXに関わる企業が参加してディスカッションを行うプログラムを作成した。前述した状況をふまえて、これからの医療DXがどうなっていくのかについての議論を深めていきたいと考えている。ご興味のある読者の方にも参加して頂ければ幸いである。

土屋淳郎(医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)[在宅医療情報連携加算]

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