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ノロウイルス感染症[私の治療]

No.5235 (2024年08月24日発行) P.49

曽根田京子 (東京大学医学部附属病院感染症内科)

池内和彦 (東京大学医学部附属病院感染症内科)

堤 武也 (東京大学医学部附属病院感染症内科科長/教授)

登録日: 2024-08-23

最終更新日: 2024-08-20

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  • ノロウイルスは感染性胃腸炎の主要な原因ウイルスで,食品もしくはヒトを介して経口感染し,主に冬季に流行する。ヒトに感染する主要なノロウイルスは2つの遺伝子群(GⅠ,GⅡ)があり,さらに数種類の遺伝子型にわかれる。日本では,主にGⅡ.4が検出されることが多い1)。嘔吐・下痢が主な症状で,抗ウイルス薬はなく対症療法が中心である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    潜伏期間は24~48時間と短く,腹痛,悪心・嘔吐,非血性水様性下痢が主な症状である。発熱は軽度で,半数程度で認める。これらは感染性腸炎の一般的な症状と同様であるため,ノロウイルスによるものかは,周囲の流行状況やsick contactの有無から推測する。

    【感染経路】

    食品もしくはヒト-ヒト感染する。ウイルスに感染した食品取扱者を介して食品が汚染されることが多く,周囲の流行状況を確認する。そのほかの原因として,ノロウイルスに汚染された二枚貝を生もしくは加熱不十分で摂取したために起こることもある。稀ながら飛沫感染,空気感染も報告されている。

    【検査方法】

    糞便中のノロウイルスを検出する方法として,抗原-抗体反応による抗原診断(イムノクロマト法,酵素抗体法など)と遺伝子診断(RT-PCR,LAMPなど)がある。RT-PCRと比較し感度は劣るが,臨床で使用可能なのは抗原検査で,イムノクロマト法によるキットが使用しやすい。日本では3歳未満と65歳以上の高齢者において保険適用となっているが,全例で必須ではなく,重症な場合や免疫不全者,アウトブレイクが疑われる場合に検査を検討する。イムノクロマト法は,ウイルス量が少ない場合(105コピー数/mL以下)や直腸便では偽陰性となる可能性があることや,浣腸便では偽陽性となることに注意が必要である2)

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