「ふたつ文字 牛の角文字 直ぐな文字 歪み文字とぞ 君は覚ゆる」
高校時代、友人から「これ何のことだろう?」と相談を受けた。聞けば、女子から手紙を渡されたらしい。出典は古文であろう、と国語科の先生に訊ねてみると、やけにニヤニヤしながら教えてくれた。これは『徒然草』で紹介されている歌で、ふたつ文字は「こ」、牛の角文字は「い」、直ぐな文字は「し」、歪み文字は「く」、続けて読むと「こいしく」となる。何のことはない、朴念仁が2人してラブレターの謎解きで四苦八苦していたというオチであって、おまけに自分は単なる傍観者として、いい面の皮である。
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