株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

激しい咳嗽で聴こえたウィーズ[聴いて覚える肺聴診ギャラリー(21)]

No.5229 (2024年07月13日発行) P.10

長坂行雄 (洛和会音羽病院/洛和会京都呼吸器センター参与)

登録日: 2024-07-11

最終更新日: 2024-07-09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

症例 遷延する咳嗽を主訴とする60歳代男性

昨年秋頃より鼻水と咳嗽があり,近医で喘息,後鼻漏性咳嗽と診断され,去痰薬,モンテルカスト,鎮咳薬にてコントロールしました。年末にインフルエンザ,年始にCOVID-19罹患以降,咳嗽が悪化し,咳喘息として,吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)+長時間作用性抗コリン薬(LAMA)のトリプル吸入療法と,去痰薬で治療しましたが,夜間就寝後の咳嗽がひどく眠れないため,救急受診をしました。

胸部CTでは,気腫は目立ちませんが,両肺下葉気管支内の粘液が目立ち,左優位の下葉容積減少がありました(図1)。また,肺音は濁った音のウィーズ(ポリフォニック・ウィーズ)が吸気,呼気ともに聴こえました(図2)。

→図2の肺音はこちらから聴くことができます 

総合的に喘息要素の強いCOPDと考えられました。また,喘鳴が著明で,SpO2は90%程度であったことから,緊急入院となりました。

【生活歴】
喫煙歴は18歳~現在まで15本/日。ペットはいない。

【アレルギー歴】
花粉症。

【検査所見】
WBC 5.1×103/μL,CRP 0.03mg/dL,好酸球11.8%,FeNO 80ppb,1秒量(FEV1)2.20,1秒率(FEV1%)59%,肺機能はフローボリューム曲線の下行脚が下に凸。

WEBコンテンツ「5分でマスター 実践肺聴診

プレミアム会員向けコンテンツです(連載の第1~3回と最新回のみ無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top