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患者さんが増え続ける理由とは[〈開業医応援プログラム〉総合診療クリニックの創り方(2)]

No.5229 (2024年07月13日発行) P.59

菊池大和 (きくち総合診療クリニック院長)

登録日: 2024-07-10

最終更新日: 2024-07-09

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きくち総合診療クリニックは,令和6年4月11日で8年目を迎えました。「総合診療・救急診療を通じて地域医療に最大限に貢献する」という診療理念を全スタッフで共有して,「いつでも,何でも,誰でもまず診る」診療スタイルで日々の診療を行っています。毎月400~500人の新患の方が受診しており,多い月は700人にも上ります。

驚異的な新患数の秘訣

毎月,これだけの新患数が継続できているのはどうしてでしょうか。平均的なクリニックでは,新患数は月に20~30人が普通で,数年たてば新患はなく,再診だけになることも不思議ではありません。当院は,本当のかかりつけ医を自負しています。本当のかかりつけ医を実践していれば,自ずと患者さんは受診するわけです。一般的に,“かかりつけ”は患者さんが使う言葉です。風邪をひいたら行くようなクリニック,いつもの薬をもらいに行くクリニックという意味合いが強いと思います。クリニック側も,生活習慣病を診るようなクリニックのホームページでは,ここはかかりつけです,というようなニュアンスで紹介しています。しかし,私が思うかかりつけ医というものは,もっと広く深いのです。つまり,臓器別ではなく,すべての病気をまとめて診療すること。内科も外科も関係ないのです。診ない症状はないのです。

かかりつけ医ならまず診る

日本のほとんどのクリニックは,院長が得意とする病気,症状しか診ないので,門前払いされることも少なくありません。いつも通院している人が違う症状で受診したときは,診ないことも多いわけです。それでは,かかりつけ医とは言えないというのは,ほとんどの方が理解できると思います。かかりつけ医であれば,まず症状を診て診察しないといけません。まず医師が診ないと,その方の治療が止まってしまうからです。かかりつけ医が責任をもって診て,それから専門医につなげるかどうか,判断しないといけません。

「いざというときに診てくれる」の口コミ

きくち総合診療クリニックは,綾瀬市8万4000人中3万8000人が通院,受診していますが,なぜこれほど地域に根付いているのか。それは「いつでも,何でも,誰でもまず診る」からです。あそこに行けば診てくれるという口コミが広がっているからです。実際1年間に900件の総合病院への紹介状も作成していますので,紹介率も高いです。また夜20時まで,土日祝日,年末年始も診療しており,かかりつけにしたいと思う方が増えてもおかしくありません。だから他院から転院してくださる方が多いのです。

「いざというときに診てくれる」ということが,患者さんの医療機関への信頼につながっています。口コミにより患者さんが増えるのは必然だと感じています。このようなクリニックを患者さん,世の中が必要としています。これから開業する先生方にはぜひ,総合診療・救急診療を勉強していただき,患者さんに寄り添うクリニックを開業していただきたいと思います。

きくち やまと (きくち総合診療クリニック院長)
2004年福島県立医科大学卒業。09年湘南東部総合病院外科科長/救急センター長,16年座間総合病院総合診療科,17年開業。

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