血管性認知症とは,脳血管障害が原因となる認知症である。アルツハイマー病とは異なり,記憶障害は必発ではなく,一方で,実行機能障害や注意障害,そのほか様々な神経局所徴候を伴う。遺伝性の血管性認知症である,皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体顕性脳動脈症(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy:CADASIL)と,禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体潜性白質脳症(cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy:CARASIL)は指定難病であり,治療費の一部は公費の補助を受けることができる。
①認知症があり,②MRIやCT画像上脳血管障害がみられ,③両者の因果関係がある,という3点を満たすこと。
高血圧,糖尿病,脂質異常症などの血管リスク管理に加えて,抗血栓薬,脳循環・代謝改善薬が病態に応じて用いられる。攻撃性や焦燥性興奮など精神症状に対しては抗精神病薬が,アルツハイマー型認知症の合併例では抗認知症薬が用いられる。適度な身体活動など,非薬物療法やリハビリテーションも考慮される。
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