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【緊急レポート】能登半島地震:令和6年能登半島地震における感染症対策支援について

No.5209 (2024年02月24日発行) P.32

川村英樹 (日本環境感染学会災害時感染制御検討委員会/鹿児島大学大学院医歯学総合研究科感染症専門医養成講座特任准教授)

泉川公一 (日本環境感染学会災害時感染制御検討委員会/長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床感染症学分野教授)

登録日: 2024-02-09

最終更新日: 2024-02-09

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1月1日16時10分に発災し、最大震度7を記録した令和6年能登半島地震では、道路・上下水道などの損傷も大きく、その復旧にも時間を要している。ピーク時には輪島市・珠洲市を中心に約3万人の方が避難し、2月4日現在においても金沢以南の1.5次・2次避難所での約5000人の遠隔避難を含む約1万5000人の方が避難生活を余儀なくされている。

避難所における3密環境や、上下水道が使えないことによる手洗い・トイレ環境の問題、また、冬季のインフルエンザや感染性胃腸炎の流行期と重なったこと、新型コロナウイルス感染症の対応も必要となっていることから、避難所における感染対策が課題となった。

日本環境感染学会災害時感染制御支援チームでは、石川県保健医療福祉調整本部内に厚生労働省の全体調整に加え、国立国際医療研究センターや国立感染症研究所と共同で感染症対策支援体制を構築した。要配慮者の救護の原則に基づき、ワンチームで医療関連感染対策等のノウハウを生かし災害派遣医療チーム(DMAT)・日本医師会災害医療チーム(JMAT)・災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)等の感染管理をサポートし、被災地の避難所管理や避難者や支援者を感染症から守ることを目的に、以下の方針のもと活動を行っている。

I.被災地域における感染症の発生動向や現場からの評価をもとにリスクアセスメントを行い、関係者との情報共有を図る
Ⅱ.被災地域のリソースに応じた適切な避難所環境の感染対策や、支援者に対する感染制御のサポートを行う
Ⅲ.疫学評価や感染管理強化策の作成・運用支援による避難所アウトブレイク時の収束に向けたアプローチを行う

実際の活動としてはDMAT、JMAT、DHEATや現地保健師からの情報・依頼に基づき、国立感染症研究所実地疫学研究センターにおけるリスクアセスメント情報も共有し、避難所の感染対策の実地支援や相談対応を行っている。また、避難所で活用できるポスターやマニュアルなどを後方支援チームで作成し、日本環境感染学会ホームページ上で公開している。さらに、賛助企業グループによる被災地の感染対策担当者への物資支援活動も実施している。今後地元の感染対策専門家と連携し、地元での活動が円滑に進むようなサポートも行っていく予定である。

今回の特徴として高齢化地域での発災ということもあり、被災者の医療・介護ニーズが高く、多くの支援チームが関わっている。有事の感染対策として、リソースの確保またはリソース不足の中で可能な感染対策を現地現物で考えていくことの重要性を感じている。

今回のチーム活動が、被災者の感染症リスク軽減と、今後の災害時対応に貢献できるよう引き続き取り組んでいきたい。

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