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膿胸[私の治療]

No.5187 (2023年09月23日発行) P.46

井手口周平 (琉球大学医学部感染症・呼吸器・消化器内科学講座(第一内科))

山本和子 (長崎大学病院呼吸器内科講師)

登録日: 2023-09-24

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  • 膿胸とは,胸膜が炎症を起こし,胸腔内に膿がたまった状態を言う。細菌性肺炎,胸腔内手術後に続いて起こることが多い。症状の期間によって,急性膿胸,慢性膿胸(3カ月以上)にわけられ,また,原因菌の種類によって細菌性(化膿性),結核性,真菌性にわけられる。

    ▶診断のポイント

    【細菌性(化膿性)膿胸】

    急性発症の場合,発熱,咳,痰,呼吸困難の下気道感染を疑う所見に加え,胸痛を伴う。療養施設で寝たきりの高齢者や意思疎通が困難な患者は,持続する発熱のみを呈することがあり,注意を要する。胸部画像で胸水貯留を認め,胸腔穿刺で肉眼的な膿性胸水,あるいは胸水のpHや糖の低下,菌の存在を認めることで診断する。

    【結核性膿胸】

    細菌性と比較し症状に乏しく,慢性膿胸として診断されることが多い。胸水中の細胞分画がリンパ球優位であることや,胸水ADAの上昇(カットオフ40U/L)が診断の補助となる。確定診断は胸水培養やPCR法で結核菌を証明することであるが,感度は高くない。胸腔鏡で白色胸膜病変を生検し,肉芽腫の証明や胸膜培養で診断できる場合がある。

    【真菌性膿胸】

    アスペルギルスによる報告が多い。もともと肺内に病変があり胸腔内に穿破することで生じ,しばしば有瘻性となる。また,肺アスペルギローマなどに対する外科治療において,術中に胸腔内に真菌が漏れることで,術後に発症することがある。胸水に培養で真菌を証明し診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    適切なドレナージが最も重要である。発症早期の場合,胸腔ドレーン留置のみでドレナージできる可能性が高いが,発症から数日以上経過しエコーで胸水内に隔壁を認める場合や,CT画像で被包化された膿瘍腔が複数箇所ある場合には,診断と同時に外科手術(膿瘍腔搔爬術)の検討,あるいは外科治療が可能な病院への搬送が望ましい。

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