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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症[私の治療]

No.5174 (2023年06月24日発行) P.49

田代将人 (長崎大学病院感染制御教育センター副センター長/同大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座臨床感染症学分野講師)

泉川公一 (長崎大学病院感染制御教育センターセンター長/同大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座臨床感染症学分野教授)

登録日: 2023-06-23

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  • カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae:CRE)感染症は,メロペネムなどのカルバペネム系薬剤および広域β-ラクタム系薬剤に対して耐性を示す,腸内細菌科細菌による感染症である。近年の細菌ゲノム解析結果に基づいた再分類により,現在はカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(carbapenem-resistant Enterobacterales:CRE)の呼称が一般的となってきている。CREは,カルバペネム分解酵素(カルバペネマーゼ)を産生するタイプ(CPE)と,産生しないタイプ(non-CPE)の2つに大別される。前者はプラスミドを介して菌種を超えてカルバペネマーゼ遺伝子が拡散するため,感染対策上も重要な耐性菌である。

    ▶診断のポイント

    感染症法における定義では,分離・同定による腸内細菌科細菌の検出,かつ次の①あるいは②のいずれかによるカルバペネム系薬剤および広域β-ラクタム系薬剤に対する耐性を確認することとなっている。

    ①メロペネムの最小発育阻止濃度(MIC)値が2μg/mL以上であること,または感受性ディスク(KB)の阻止円が直径22mm以下であること。

    ②イミペネムのMIC値が2μg/mL以上であること,またはKBの阻止円が直径22mm以下であること,およびセフメタゾールのMIC値が64μg/mL以上であること,またはKBの阻止円が直径12mm以下であること,のいずれにも該当すること。

    これらの定義に該当する菌が,血液,腹水,胸水,髄液,その他の通常無菌的であるべき検体から分離された場合,あるいは喀痰,膿,尿,その他の通常無菌的ではない検体から分離され,かつ分離菌が感染症の起因菌と判定される場合は,5類感染症として7日以内に届け出が必要である。

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