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手指衛生による接触皮膚炎の対応は?

No.5173 (2023年06月17日発行) P.58

木下美咲 (杏林大学医学部皮膚科講師)

加藤峰幸 (東京都立多摩総合医療センター皮膚科部長)

登録日: 2023-06-19

最終更新日: 2023-06-14

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  • 新型コロナウイルス感染症の影響で手指衛生を頻回に行うようになり,手の接触皮膚炎を発症する人が増えましたが,どのように対応していますか?
    東京都立多摩総合医療センター・加藤峰幸先生にご解説をお願いします。

    【質問者】木下美咲 杏林大学医学部皮膚科講師


    【回答】

    【刺激性接触皮膚炎が主体であり,消毒薬の変更よりも保湿剤で対応する】

    新型コロナウイルスを含む感染症に対し,WHOは石鹸と水の頻回の手洗いと擦式アルコール消毒薬の使用を推奨しています1)。特に医療従事者は手指衛生が頻回なため,手湿疹の有病率は5.8~21%2)3)と高いことが報告されています。アルコールによる接触皮膚炎には刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎があり,発症頻度はアレルギー性よりも摩擦や乾燥による刺激性接触皮膚炎が主体です。

    日本人はアルコール不耐症の割合が高いため(ALDH2ヘテロまたはホモ欠損型41~52%)4),アルコールアレルギーと申告する患者も多く,採血の現場ではアルコールの代用としてクロルヘキシジンなどの消毒薬で対応することがあります。しかし,実際には真性のアルコールアレルギーは稀なので,安価で毒性の少ないアルコールはコロナ禍に限らず最も推奨される消毒薬です。Lohらのsystematic review3)ではアルコール消毒薬の使用回数と手湿疹のリスクは報告によってばらつきがあり,統計学的に有意な関連性は認められませんでした。アルコール消毒薬の使用回数よりも手洗いの回数が手湿疹の悪化因子であることが報告されています。

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