株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

慢性胃炎[私の治療]

No.5173 (2023年06月17日発行) P.47

沖本忠義 (大分大学医学部消化器内科学講座准教授)

村上和成 (大分大学医学部消化器内科学講座教授)

登録日: 2023-06-19

最終更新日: 2023-06-13

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 慢性胃炎は,正しくは組織学的に胃粘膜の慢性的な炎症性変化を認める組織学的胃炎を表している。しかし,日常診療でよく用いられる病名としての慢性胃炎は,組織学的胃炎のほかに,胃痛や胃もたれなどの自覚症状があるが原因が認められない機能性ディスペプシアや,内視鏡や胃透視を用いた画像診断で診断された形態学的胃炎が含まれた疾患概念で用いられることが多い。また,日常診療では検査や投薬のための保険病名として用いられることも多い。組織学的胃炎の大部分はヘリコバクター・ピロリ(以下,ピロリ菌)感染によるものであり,ピロリ菌感染が確認された場合は「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」という保険病名となる。

    ▶診断のポイント

    保険適用上ピロリ菌の感染診断は,内視鏡検査で胃炎が認められた場合に行うことができ,内視鏡検査前にピロリ菌の感染診断を行うことは認められていない。内視鏡検査により逆流性食道炎,消化性潰瘍,胃癌などの器質的疾患を除外するとともに,胃粘膜を「胃炎の京都分類」等を参考に観察する。胃炎の京都分類は,ピロリ菌未感染の正常粘膜,ピロリ菌感染粘膜,ピロリ菌既感染粘膜を内視鏡的に診断するために内視鏡所見を分類したものである。内視鏡所見でピロリ菌感染を疑う場合に感染診断を行う(具体的な感染診断方法については「ヘリコバクター・ピロリ感染症」の稿を参照)。

    ピロリ菌感染以外を原因とする慢性胃炎の頻度は高くないが,ピロリ菌以外のヘリコバクター属(non-Helicobacter pylori Helicobacter:NHPH),サイトメガロウイルスや結核菌などの感染,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬剤によるもの,自己免疫性胃炎(autoimmune gastritis:AIG),クローン病など全身疾患に伴うもの,好酸球性胃炎など特殊な胃炎もある。

    ピロリ菌感染と間違いやすいAIGの内視鏡所見は,体部主体の萎縮性変化や固着粘液が特徴的である。組織学的には,enterochromaffin-like cells(ECL細胞)の過形成やendocrine cell micronestを伴う慢性炎症細胞浸潤がみられる。血清学的には,高ガストリン血症と抗壁細胞抗体,抗内因子抗体陽性所見が重要な所見とされている(抗壁細胞抗体,抗内因子抗体測定は保険適用外)。AIGでは胃内は低酸状態であるため,ピロリ菌以外のウレアーゼ活性を持つ細菌が存在する場合があり,ピロリ菌除菌判定時に尿素呼気試験や迅速ウレアーゼ試験が偽陽性となる可能性があるため,注意が必要である。

    近年,ピロリ菌以外のヘリコバクター属であるNHPH感染が注目されつつある。慢性胃炎だけではなく,胃MALTリンパ腫との関連も報告されているが,現在保険適用で行える確定診断法はなく,胃生検組織の検鏡でピロリ菌より大型の桿菌を検出した場合にNHPH感染を疑う。

    残り843文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top