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ジベルバラ色粃糠疹[私の治療]

No.5166 (2023年04月29日発行) P.54

朝比奈昭彦 (東京慈恵会医科大学皮膚科学講座主任教授)

登録日: 2023-04-27

最終更新日: 2023-04-25

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  • ジベルバラ色粃糠疹は,主に10~35歳の若年者に生じる炎症性皮膚疾患で,発症頻度は比較的高い。前駆症状あるいは随伴症状として軽い感冒様症状がみられることもあるが,通常は全身症状を伴わない。初発疹として径2~4cm程度,類円形で襟飾り状の鱗屑を伴うherald patchと呼ばれる単発の紅斑局面が生じ,その数日後から1~2週間後に,体幹から四肢近位にかけて,径1~2cmとより小型で同様の外観の類円形の紅斑落屑局面が左右対称性に皮膚割線(Langer線)に沿って多発する。半数ほどの患者で瘙痒を訴える。原因不明であるがウイルス感染説が有力で,HHV-6型あるいは7型の再活性化の関与も示唆されている。通常は1~3カ月で自然治癒する。

    ▶診断のポイント

    大型で環状の初発疹(herald patch)と,Langer線に沿って配列する続発疹からなる特徴的な臨床像が診断の決め手になる。続発疹は背部ではクリスマスツリー様と形容され,前胸部ではV字型となる。本疾患に特徴的な検査所見はなく,生検による病理組織像も非特異的な海綿状皮膚炎型である。臨床経過を振り返って,あとから本疾患と診断できる場合もある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    1~3カ月で自然治癒するため積極的な治療は不要で,合併症や後遺症もない。瘙痒あるいは皮疹の炎症症状が強い場合には,止痒薬やステロイド外用薬を使用するが,それによる皮疹消失の効果までは期待しにくいため,あくまで対症療法である。

    文献上では,ナローバンドUVB療法などの紫外線療法のほか,各種マクロライド内服,アシクロビル内服など,全身療法の報告がある。コクランレビューでも内服療法の効果が検証されているが,エビデンスレベルが低いために治療法として確立しておらず,また,保険適用外である。

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