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血管腫[私の治療]

No.5163 (2023年04月08日発行) P.46

神人正寿 (和歌山県立医科大学皮膚科教授)

登録日: 2023-04-09

最終更新日: 2023-04-05

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  • 血管腫という病名は慣習的に様々な脈管の病変に対して使用されるが,The International Society for the Study of Vascular Anomalies(ISSVA)分類では,それらを脈管性腫瘍(細胞の増殖あり)と脈管奇形(細胞の増殖なし)の2つに分類している1)。さらに脈管性腫瘍としては,乳児血管腫,先天性血管腫(RICH,NICH),tufted angioma,カポジ肉腫様血管内皮細胞腫,毛細血管拡張性肉芽腫などを挙げている。中でも,乳児血管腫はいわゆる「イチゴ状血管腫」として一般に知られ,新生児の0.1~数%程度にみられる乳児期に最も多い腫瘍性病変のひとつである。一方,脈管奇形は毛細血管奇形,静脈奇形,リンパ管奇形,そして動静脈奇形などに細分される。

    ▶診断のポイント

    症状としては一般に皮膚,あるいは肝臓や消化管など諸臓器に,1個または複数の限局した局面・結節・腫瘤・囊腫など多彩な病変を形成する。

    ドップラー超音波検査あるいは(造影)MRIで,脈管性腫瘍は血流の豊富な腫瘍性病変として,脈管奇形は脈管の拡張による奇形病変として描出される。病理組織学的には,脈管性腫瘍では内皮細胞の増殖性変化がみられ,脈管奇形では脈管成分の異常拡張が確認できる。

    特にβ遮断薬の適応があるかどうかが治療方針に大きく関わるため,乳児血管腫の診断および鑑別が最も重要となる。乳児血管腫の診断においては,出生後おおよそ2週以内に出現し増大する発生時期,1歳頃に自然消退する経過,さらには病理組織学的に腫瘍細胞がGLUT-1陽性となることなどが有用である。

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