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痤瘡(にきび)[私の治療]

No.5155 (2023年02月11日発行) P.50

林 伸和 (虎の門病院皮膚科部長)

登録日: 2023-02-11

最終更新日: 2023-02-07

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  • 痤瘡は,皮脂の分泌亢進と,毛包漏斗部の角化異常による閉塞によって生じる毛包内への皮脂の貯留が本体である。この状態を臨床的には面皰(コメド)と呼ぶ。面皰内では通性嫌気性菌のCutibacterium acnesが増殖しやすく,炎症を伴うと紅色丘疹や膿疱などの炎症性皮疹へと移行する。
    痤瘡の発症は13歳頃で,大学生までに95%以上の人が経験する。女性では思春期後にも継続することがあり,思春期後痤瘡と呼ぶ。顔面を中心とする症状のためquality of lifeに与える影響が大きい。

    ▶診断のポイント

    痤瘡の診断のポイントは毛包一致性の皮疹からなり,面皰を伴うことである。一般に痤瘡の診断は容易だが,酒皶や毛包虫症などが鑑別となる。難治で診断に疑問が生じた場合,面皰を確認する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    患者の多くは炎症性皮疹を訴えて受診する。紅色丘疹や膿疱を主体とする急性炎症期では,炎症あるいはC. acnesに作用する薬剤(経口抗菌薬,外用抗菌薬,過酸化ベンゾイル)と,面皰に作用する薬剤(アダパレン,過酸化ベンゾイル)を組み合わせて使う。丘疹や膿疱が平坦化して面皰が主体となった維持期には,アダパレン,過酸化ベンゾイルあるいは,両者の配合薬を使用する。抗菌薬は面皰への効果が期待できないことに加え,薬剤耐性C. acnesを誘導するので,維持療法には使用しない。炎症軽快後にも通院を継続させるために,面皰治療を継続することで炎症の再発が予防できることを最初から説明しておく。

    【治療上の一般的注意&禁忌】

    アダパレンは外用薬ではあるが,妊婦あるいは妊娠している可能性のある女性への使用は禁忌となっているので,注意が必要となる。また,アダパレンや過酸化ベンゾイルは局所刺激症状や接触皮膚炎の副作用があるため,開始時には副作用について説明し,少量から開始し,最初の1カ月間は慎重に経過をみるなどの対策が必要である。

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