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光線過敏症[私の治療]

No.5153 (2023年01月28日発行) P.53

森脇真一 (大阪医科薬科大学皮膚科学教室教授)

登録日: 2023-01-27

最終更新日: 2023-01-24

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  • 光線過敏症(photosensitive disorders)は,通常では皮膚に異常が生じない波長あるいは短時間の光線(紫外線,可視光線)曝露後,顔面など露光部に異常な皮膚反応が生じる疾患群の総称である。外因性,内因性,遺伝性,代謝異常,EBウイルス感染など様々な要因で発症し,外因が明らかなものは光接触皮膚炎,薬剤性光線過敏症,内因性では日光蕁麻疹,多形日光疹,慢性光線性皮膚炎,遺伝性では色素性乾皮症,骨髄性プロトポルフィリン症,コケイン症候群(いずれも小児慢性特定疾病,指定難病)が代表的疾患である。種痘様水痘症はEBウイルス感染が発症に関与し,晩発性皮膚ポルフィリン症はアルコール過剰摂取,薬剤(エストロゲン製剤),喫煙,感染症(C型肝炎,HIVなど)が発症誘因となる。

    ▶診断のポイント

    ①皮疹の部位が日光曝露部位に一致すれば外因の有無,日光曝露と皮疹出現との関連について問診を行う。

    ②皮膚症状は顔面,耳介,手背,上胸部,項部など露光部位に限局する。皮疹は多様で,紅斑,膨疹,丘疹,水疱,色素異常,小瘢痕など様々である。ポルフィリン症では皮膚変化がなくても光線曝露後のピリピリ感を訴える。

    ③光線検査,血液・尿検査,遺伝学的検査を必要に応じて実施する。人工光源を用いた光線照射試験を行い,各波長領域の光線に対する過敏性を判断する。光貼付試験は光アレルギーが関与する外因が疑われる場合に実施する。種痘様水疱症,多形日光疹には誘発試験,色素性乾皮症ではDNA修復試験,ポルフィリン症では血中・尿中ポルフィリン値測定が有用で,適宜遺伝子解析を実施する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    外因が判明すれば除去,内因性では皮疹を誘発する作用波長の光線曝露を避けるよう指導する。遺伝性の場合は,単一遺伝子変異が原因であるため,根治は望めない。厳重な遮光を指示し,合併症(色素性乾皮症では露光部皮膚癌や神経症状,骨髄性プロトポルフィリン症では肝機能障害)の早期発見・対応に留意する。帽子,衣服などによる物理的遮光とサンスクリーン剤を用いる化学的遮光を行わせる。炎症性皮疹には対症療法が基本である。

    炎症性皮疹に対してはステロイド外用薬,びらんが大きい場合には外用抗菌薬を併用する。瘙痒が強ければ経口抗ヒスタミン薬を投与する。日光蕁麻疹では抗ヒスタミン薬の長期内服が必要であり,紫外線療法(ナローバンドUVB)が有用なこともある。強い腫脹,水疱形成が著明,散布疹があるなど重症例にはステロイド内服療法を考慮する。慢性光線性皮膚炎ではシクロスポリン内服,タクロリムス外用が有用である。

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