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甲状腺腫瘍[私の治療]

No.5152 (2023年01月21日発行) P.43

志村浩己 (福島県立医科大学臨床検査医学講座主任教授)

登録日: 2023-01-22

最終更新日: 2023-01-17

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  • 甲状腺結節は,過形成結節と狭義の腫瘍(neoplasm)に分類される。過形成結節(良性)としては,きわめて頻度が高い腺腫様結節(腺腫様甲状腺腫)がある。狭義の腫瘍としては,良性に濾胞腺腫があり,悪性には乳頭癌,濾胞癌,髄様癌,低分化癌,未分化癌,リンパ腫がある。悪性腫瘍の90%以上は乳頭癌であり,次に頻度が高いのは5%前後を占める濾胞癌である。分化型甲状腺癌である乳頭癌,濾胞癌はきわめて予後良好であるが,髄様癌の予後はこれらより悪く,特に高齢者に発症する未分化癌の予後は非常に不良である。

    ▶診断のポイント

    甲状腺腫瘍は触診で発見しうるが,結節の評価には超音波検査が必要である。Bモード画像では,腫瘍の形状,境界の明瞭性と性状,腫瘍内部エコーレベルと均質性,高エコーおよび境界部低エコー帯の評価を行い,日本乳腺甲状腺超音波医学会1)の基準に従い,穿刺吸引細胞診の実施の適否を評価する。細胞診による甲状腺癌の正診率はきわめて高いが,濾胞腺腫と濾胞癌の鑑別は困難である。血液検査ではCEA,カルシトニンの測定は髄様癌の診断に有用であるが,サイログロブリン測定による良悪性の鑑別は困難である。

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