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■NEWS 23年度中間年改定、改定対象範囲などで各側の意見対立続く―薬価専門部会

No.5145 (2022年12月03日発行) P.70

登録日: 2022-11-22

最終更新日: 2022-11-22

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中央社会保険医療協議会薬価専門部会は1116日、2023年度の薬価の中間年改定について議論した。各側の意見は、改定対象品目、既収載品目の算定ルールの適用範囲をはじめ多くの点で依然、隔たりがある。

厚生労働省はこの日、(1)改定対象範囲、(2)既収載品目の算定ルールの適用範囲、(318年度から5年連続の薬価改定による企業への影響や、最近の原材料等の高騰による影響を踏まえた薬価の観点からの対応の必要性、(4)調整幅のあり方―などに関する論点整理を提出した。

1)は改定対象品目となる「価格乖離の大きな品目」の判断基準が争点の1つ。21年度の中間年改定では、「平均乖離率の0.625倍」(乖離率5%)を基準とし、これを超えるものが改定対象品目になった。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、5年連続の薬価改定で乖離率が縮小している可能性があるとし、「価格乖離の大きな品目」の基準は今年度の薬価調査の結果を見て改めて議論するべきだと主張した。

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「前回の平均乖離率0.625倍がベースになる。これを変えるのであれば相応の根拠が必要だ」と反論。乖離率に加え、乖離額に着目した対象品目の選定も提唱し、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)もこれに賛同した。

2)では診療側が実勢価改定に連動したルールのみの適用を求めたのに対し、松本委員は、「実勢価連動ルールのみを引き続き採用する場合も、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の累積額控除と長期収載品の後発医薬品への置換え率に応じた引き下げルールを適用する妥当性は十分ある」と述べた。

3)について関係業界は薬価の緊急引き上げを求めている。各側委員も安定供給の観点から何らかの対応が必要との認識で概ね一致しているが、業界の要望には、「単に薬価を引き上げるのではなく、患者が納得できることや企業の合理的対応の有無も勘案すべきだ」(長島委員)、「物価高騰だからと一律に薬価の引き下げ率を緩和することは容認できない」(松本委員)など、否定的な意見が多い。

また診療側は(4)の調整幅について、薬価制度全体の中で位置付けられた仕組みであり、中間年改定で論じる課題ではないとの見解を示している。

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