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重症喘息発作に対する非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の適応 【喘息発作であればNPPVと挿管人工呼吸との差が出にくいため,いずれでも慣れた方法でよい】

No.4824 (2016年10月08日発行) P.51

松本久子 (京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学院内講師)

富井啓介 (神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科部長)

登録日: 2016-10-07

最終更新日: 2016-10-11

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  • COPDの増悪による急性呼吸不全に対しては,ガイドラインで非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)の使用が強く推奨されていますが,喘息増悪時に対してはあまり推奨されていません。その違いは何でしょうか。NPPVは実際には使われないのでしょうか。
    神戸市立医療センター中央市民病院・富井啓介先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    松本久子 京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学 院内講師


    【回答】

    急性呼吸不全を呈する多くの疾患でNPPVが実施されるようになり,「NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン(改訂第2版)」によればCOPDの増悪についてはエビデンスレベルⅠの推奨度Aとなっています。またCOPDを合併した場合,人工呼吸離脱支援としてレベルⅠ推奨度B,重症肺炎でレベルⅡ推奨度B,do not intubate(DNI)患者および高齢者でレベルⅣ推奨度Bとされています。一方,同様の閉塞性換気障害をきたす喘息発作の場合はレベルⅡ推奨度C1(科学的根拠は少ないが行うことを考慮してもよい),経験の少ない施設ではC2(十分な科学的根拠がないので,明確な推奨ができない)にとどまっています。これは喘息発作を対象としたNPPVの成績が観察研究やコホート研究主体で,ランダム化比較試験(randomized control trial:RCT)は10~20人規模のもの少数のみであり,またRCTで得られたアウトカムが大半は肺機能改善で,挿管率減少や死亡率減少といった臨床的に影響度の大きい結果が得られていないためです。

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