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吸収不良症候群(小腸細菌異常増殖症など)[私の治療]

No.5127 (2022年07月30日発行) P.44

松岡克善 (東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科教授)

登録日: 2022-08-01

最終更新日: 2022-07-26

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  • 小腸細菌異常増殖症(small intestinal bacterial overgrowth:SIBO)は,小腸に細菌が異常増殖した状態であり,重症例では吸収不良症候群を合併する1)2)。SIBOは,①腸管蠕動の低下 (糖尿病,アミロイドーシス,強皮症など),②胃酸・膵酵素・胆汁の分泌低下 (プロトンポンプ阻害薬,慢性膵炎,慢性胆汁うっ滞,肝硬変など),③解剖学的異常(盲係蹄症候群,小腸憩室,小腸狭窄など),④免疫異常(免疫不全症,IgA欠損症など)によって起こる。

    ▶診断のポイント

    SIBOの症状として腹部膨満感,慢性下痢,腹痛などがある。確定診断は,空腸吸引液培養での103 colony forming unit/mLを超える細菌増加がゴールドスタンダードであるが,煩雑で再現性に問題があり,実施されることは少ない。また,わが国では保険適用外であるが,炭水化物呼気試験もSIBOの診断に有用である。糖基質(グルコース,ラクツロース,D-キシロース)を経口投与し,これらが腸内細菌によって代謝され産生される水素やメタンを呼気中で測定する。血液検査では,大球性貧血,ビタミンB12欠乏などがみられる。小腸の器質的な疾患の除外のために,小腸内視鏡や小腸カプセル内視鏡を行う。

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