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頭痛と失見当識,尿失禁,すり足歩行で来院した79歳男性[鑑別診断塾入門(29)]

No.5120 (2022年06月11日発行) P.7

塩尻俊明 (国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2022-06-10

最終更新日: 2022-06-08

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【現病歴】X-6カ月,徐々に増悪する頭痛を自覚。嘔気もあった。X-4カ月,人・場所がわからないといった失見当識が出現。近医でアルツハイマー型認知症を疑われ,ドネペジルが処方となったが,下痢症状が出現し3週間で中止。X-2カ月,尿失禁も出現。嘔気も増悪し食欲も低下。徐々に歩行障害が増悪し,ほとんど発語もなくなり,本日当院受診。
<追加の情報>
頭痛は非拍動性で,嘔気とともに経過を通して自覚している。歩行は小刻みなすり足。
【既往歴・家族歴】結核なし。
【内服薬】特になし
【生活歴】機会飲酒。喫煙なし。元石油コンビナート勤務。
【バイタルサイン】BT 35.4℃,BP 118/72 mmHg,PR 70/min,RR 15/min,SpO2 97%(RA)
【身体所見】頭頸部:項部硬直なし。神経:E4V2 M5。人・時間・場所が答えられないだけでなく,ほとんど発語がない。マイヤーソン徴候陰性。四肢に固縮なし。背筋,両腕も伸ばし,足隔は広く膝をロックした外股でwide baseな小刻みなすり足歩行。下顎反射正常。Babinski徴候両側陰性。

 キーワード 
・半年で進行性
・尿失禁
・非拍動性頭痛
・E4V2M5
・嘔気,食欲低下
・失見当識
・背筋,両腕も伸ばし,足隔は広く膝をロックした外股でwide baseな小刻みなすり足歩行

考えられる診断は?

A. 脳血管性認知症
B. クリプトコッカス性髄膜炎
C. 結核性髄膜炎
D. びまん性レビー小体型認知症
E. 正常圧水頭症

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