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CT検診で見つかるような軽微な間質性陰影(ILA)を見つけた場合の対処法は?

No.5117 (2022年05月21日発行) P.54

山川英晃 (さいたま赤十字病院呼吸器内科副部長)

加藤元康 (順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学)

登録日: 2022-05-18

最終更新日: 2022-05-17

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  • 無症状で検診や他の疾患で偶然見つけられる,軽微な間質性陰影(interstitial lung abnormality:ILA)が近年注目されています。様々な疾患との関連が示唆されていますがILAを認めた場合に,注意すべき点やどのように経過を追う必要があるかについてご教示下さい。
    順天堂大学・加藤元康先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    山川英晃 さいたま赤十字病院呼吸器内科副部長


    【回答】

    【HRCTにおいて分布と線維化の有無,進行の程度を定期的に確認する】

    2020年にILAという画像所見の概念が発表されました1)。ILAは重量効果ではない軽微な間質性陰影と定義され,陰影の範囲は肺野の5%以上とされています。

    ILAの管理は以下の通りで行われます。まず,ILAの線維化が進行するような,臨床的に意義のあるものかどうかを見きわめることが重要です。ILAが早期の特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)であることもあり,この場合は経過次第で抗線維化薬の適応,開始のタイミングを考えなければなりません。ILA指摘時ではほとんどの症例で自覚症状がないものの,経過観察中に画像所見はもとより呼吸困難や咳嗽などの自覚症状,呼吸機能の悪化がある場合は注意が必要で,臨床的に意義のあるケースと考えられます。

    原因検索も重要であり,特発性か,二次性かによっても今後の対応が異なります。問診では,喫煙歴,職業歴,石綿などの職業性曝露,鳥関連やカビなどの吸入曝露,薬物内服歴などの確認を行います。また,膠原病などの症状や自己抗体の検査,慢性誤嚥や胃食道逆流なども検索します。特に膠原病関連の症状などは,初診の段階では有意ではなくても後に有意になる場合があり,転居や転職した場合の環境変化で画像進行の変化を生じることもあります。そのため,定期的(3~6カ月おき)に診察を行い,その都度上記の十分な問診と身体所見の確認をILAの経過観察で行います。

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