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特集:腎性貧血の診断と薬剤選択,治療目標

No.5116 (2022年05月14日発行) P.18

長澤 将 (東北大学病院腎・高血圧・内分泌科講師)

登録日: 2022-05-13

最終更新日: 2022-05-12

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2003年東北大学医学部卒業。総合内科専門医・指導医,腎臓専門医・指導医,透析専門医・指導医。腎疾患,透析関連の著書多数あり。

1 腎性貧血とは何か?
腎性貧血とは,腎臓においてHbの低下に見合った十分量のエリスロポエチン(EPO)が産生されないことによって引き起こされる貧血であり,貧血の主因が慢性腎臓病(CKD)以外に求められないものを言う。

2 腎性貧血の診断
・「CKD+貧血→腎性貧血」と診断されており,貧血の有病率はCKDステージG3b 20%程度,G4 40%程度,G5 50%程度である。
・G3aの段階で貧血がある場合は,その他の疾患(特に消化管からの出血)を念頭に置くほうがよい。

3 治療の開始基準ならびに治療目標
・Hb<11.0g/dLが治療開始の目安である(年齢,ADLなどによってはHb<10g/dLを考慮する)。
・鉄欠乏性貧血を合併している場合には,鉄補充から始めても問題ない。
・赤血球造血刺激因子製剤(ESA)で腎性貧血を治療する場合,Hbは13g/dLを超えてはならない(脳卒中を増やす懸念があるため)。HIF-PH阻害薬については,ESAに準じてHb 13g/dLを超えないほうがよいと考えられている。
・Hbの増加速度も重要で,0.5g/dL/週を上回る場合には薬剤の減量を考える。

4 赤血球造血刺激因子製剤(ESA),HIF-PH阻害薬
・ESAの使いわけに明確な基準はなく,好みでよい。
・HIF-PH阻害薬はESAに対して非劣性であることが示されている研究が多い。
・HIF-PH阻害薬同士で優劣を示したデータはない(それぞれに併用注意薬があるため,注意が必要)。

5 ピットフォール
・ESA,HIF-PH阻害薬で治療している場合,平均赤血球容積(MCV)は90fl台後半になることが多いため,MCV 80fl前半などでは,消化管出血などを考える。
・ESAでは,ごく稀に赤芽球癆が起こることが知られている。
・ESAおよびHIF-PH阻害薬でも血圧の上昇がみられることがあるため,モニタリングをするほうがよい。

伝えたいこと…
腎性貧血は,CKDのステージを考慮して臨床的に診断する必要がある。治療の目標は年齢,ADLなどを考慮して決定する。ESA,HIF-PH阻害薬による薬物治療を実施する場合,Hbの最大値や増加速度にも注意する必要がある〔Hbの目標値は13g/dLを超えない,Hbの補正(増加)速度は,0.5g/dL/週を超えない〕。HIF-PH阻害薬,ESAに優劣はなく,ESAの使いわけに明確な基準はないため,外来ベースであれば患者が皮下注か内服のどちらがよいかで選ぶことになりそうである。2022年の診療報酬改定により,血液透析患者へのHIF-PH阻害薬は院内処方になったことに注意が必要である。

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