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本格普及なるか、オンライン診療【最新TOPIC】─22年度診療報酬改定で評価引上げ、柔軟な運用が可能に【まとめてみました】

No.5112 (2022年04月16日発行) P.14

登録日: 2022-04-14

最終更新日: 2022-04-14

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2022年度診療報酬改定で焦点の1つとなったオンライン診療。普及の妨げになっている主な要因と指摘されていた点数の大幅な引上げ、実施要件の緩和に加え、ガイドラインも改訂され、医療機関の間で積極活用、導入の機運が高まっている。こうした状況を受け、オンライン診療システムのベンダー各社は競うようにサービスを拡充している。2022年度改定はオンライン診療が本格普及するターニングポイントとなるのか。

 

2022年度診療報酬改定におけるオンライン診療関連項目のポイントとなったのは、初診の制度化と点数の大幅な引上げだ。

情報通信機器を用いた場合の初診料(251点)を新設。2018年度改定で導入された再診を対象とした「オンライン診療料」は廃止し、再診料(情報通信機器を用いた場合)は73点とした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年4月から時限的措置として容認した初診を含めた「電話・オンライン診療」の診療報酬上の特例(初診料214点)は対面(288点)の約74%だったが、22年度改定で約87%にまで引き上げられる形になった。改定後の施設基準を満たさない医療機関については、厚労省が3月4日に事務連絡を出し、初診からオンライン診療・電話診療を行う場合、継続して214点を算定することを認めた。

厚労省の調査では、オンライン診療システムを利用してオンライン診療を実施しているクリニックのうち3割以上が患者から「システム利用料」を徴収している実態があり、患者の費用負担が対面診療を上回るケースも一定程度あることが分かっている。今回の診療報酬引上げで、システム利用料を患者に転嫁しない医療機関が増えれば、患者の利便性が高まり、利用者が拡大する可能性がある。

距離・実績要件撤廃で受療行動に変化か

実施要件の見直しで影響が大きいのは、「オンライン診療料」の算定要件のうち①日常的に通院または訪問による対面診療が可能な患者(概ね30分以内に通院・訪問が可能)を対象とする、②1月当たりの「再診料」等と「オンライン診療料」の算定回数に占める「オンライン診療料」の割合は1割以下とする─という時間・距離要件と実績要件がともに撤廃されたことだ。

医療施設向けのポータルサイトなどを運営する「オンラインドクター.com」が一般の20~60代100人を対象として21年12月に実施した「オンライン診療に関する調査」では「医療機関への通院で不便に感じていること」について6割以上が「待ち時間」と回答()。「院内感染が心配」「体調が悪い中、出かけるのが大変」など医療機関に出かけることを面倒に感じる人も一定数存在する。22年度改定では、オンライン診療を開始する前の直近3月以内、開始後も3月以内に一度の対面診療が必要という規制も廃止されたことに加え、ガイドライン改訂により、かかりつけ医以外でも患者が提供した既往歴や過去の診療録、健康診断の結果といった医学的情報と症状から医師が可能と判断した場合は、初診からのオンライン診療が可能になる。

同社の調査によると、患者には「全国どこの医療機関でも受診ができる」など柔軟な利用へのニーズがあり、検索サイトなどでオンライン診療提供施設であることを宣伝するクリニックにこうした患者が集中する可能性もある。

都医の「仮想待合室」利用者も増加

オンライン診療の活用事例では、東京都と東京都医師会が昨年8月、急増していた新型コロナ感染症の自宅療養者をオンライン診療で支援する取り組みを発表。9月中旬から多摩地区で試行的に開始し、12月には都内全域で利用可能となった。この取り組みは、保健所や都の自宅療養者フォローアップセンターがスマートフォンに送るURLを通じて「仮想待合室」に入室すると待機中の医師が対応する仕組み。利用者数は“第6波”が到来した年明け以降、1月44件、2月94件、3月106件と増加し、自宅療養者が医療アクセスを確保する1つの手段として活用が進んでいる。

システムベンダーの競争が激化

22年度改定を契機に、オンライン診療システムのベンダー各社は導入施設の獲得に向け、新サービスを投入している。メドレーは、同社のシステムを導入している医療機関が少ない二次医療圏で開設している医療機関に対し、約30万円の初期導入費用がかかる「CLINICSオンライン診療」のシステムを無償で提供するサービスを4月から始めた。プライマリ・ケアを担う主要な診療科である内科と小児科の診療を行う医療機関が対象。全国で約340ある2次医療圏のうち約6割が該当する見通しだ。

オンライン診療サービス「curon(クロン)」を提供するMICINは、スマートフォンを介して患者が生体音の1つである呼吸音を取得する医療機器プログラムを開発し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に薬事承認を申請した。同プログラムは、これまでオンライン診療では取得できなかった聴診の情報をスマートフォンで取得し、オンライン診療に活用するもの。一般的な聴診器と異なり今回開発したアプリでは呼吸音のみを聴くことができる。

オンライン診療の普及を阻んできたコストや技術的課題の解消に向けた取り組みを各社が進めており、今後の医療機関の動向に注目が集まる。

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