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子宮頸部上皮内腫瘍・子宮頸癌[私の治療]

No.5112 (2022年04月16日発行) P.52

藤井多久磨 (藤田医科大学医学部産婦人科学教室主任教授)

登録日: 2022-04-13

最終更新日: 2022-04-12

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  • わが国において20~39歳の子宮頸癌は増加傾向にある。検診にて早期発見は可能だが,日本では検診受診率が低迷しており,1985年以降,年次推移に伴う罹患率減少はみられていない。前がん病変にて治療介入を受けた患者は生涯にわたり,子宮頸癌,腟癌発生のリスクがあるので,定期的な検査は必要である。早期発見により救命は可能だが,若年者の場合,妊孕能を失う可能性がある。前がん病変においても治療を行うことで浸潤がん発症予防は可能だが,妊娠した場合に早産のリスクを考慮する必要がある。将来,ヒトパピローマウイルス(HPV)感染予防ワクチンが普及すれば,予防可能ながんと言われている。

    ▶診断のポイント

    検診にて異常を指摘された患者では無症状の場合も多い。性器出血などの有症状の場合には,進行がんであることも稀ではない。子宮頸腟部の生検にて診断を確定する。浸潤がんの場合,診察や画像診断の結果を考慮に入れ,臨床進行期を決定する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    子宮頸部軽度上皮内病変の場合,症状がなければ,経過観察を基本とする。

    子宮頸部高度上皮内病変の場合,年齢や病変の程度に応じて対応を変えている。コルポスコープ所見をもとに,20~30歳代では十分なインフォームドコンセントを得て厳重に経過をみる場合や,蒸散術や円錐切除術を施行する場合がある。

    周閉経期や閉経後ではコルポスコープ検査で不適正の場合,診断的円錐切除術を推奨する。

    子宮頸癌I期の場合,43歳までの挙児希望例では臨床進行期や腫瘍の大きさ,組織型などを考慮に入れて,子宮頸部摘出術を検討する。挙児希望がない場合には,臨床情報をもとに,筋膜外単純子宮全摘出術,(準)広汎子宮全摘出術を選択する。臨床進行期がⅡ期の場合,手術もしくは同時化学放射線療法(CCRT),Ⅲ期の場合はCCRTを行う。Ⅳ期の場合には病変の広がりに応じてCCRTもしくは全身化学療法を選択する。

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