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【識者の眼】「新型コロナウイルスに関する介護福祉士(高齢者に対応する場で勤務している方)の調査」和田耕治

No.5111 (2022年04月09日発行) P.61

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2022-03-31

最終更新日: 2022-03-31

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2022年3月4日に関東と関西に在住している介護福祉士876人を対象に調査を行った。現在、高齢者に対応する場で勤務している方に限定した。

○ワクチン接種について「3回接種した」が65%で、「2回接種して3回目を予定している」が25%であった。

○職場で「職員に対してワクチン接種を勧めているか」は、86%が「そう思う」または「ややそう思う」と回答した。入所者に対しても同様に86%であった。「面会者や訪問者に勧めているか」については52%であった。

○職場の施設内で「新型コロナの感染拡大が起きたことが1度ある」が26%、「複数の人が同時期に感染したことが複数回ある」が10%であった。

○「あなたは介護の仕事中に新型コロナウイルスに感染するという不安があるか」で「そう思う」が38%、「ややそう思う」が40%であった。また、「あなたは介護の仕事中に新型コロナウイルスを入所者や同僚職員に感染させるという不安があるか」については、「そう思う」が36%で「ややそう思う」が43%であった。

○「2022年1〜2月の間に職員に対して新型コロナの検査の機会を1度以上提供していた」と回答したのは70%であった。

○新型コロナ流行中での介護の仕事は、流行していない時と比べて、①「心理的負担が多いか」は「そう思う」と「ややそう思う」で89%であり、②「身体的負担が多いか」についても「そう思う」と「ややそう思う」で80%であった。

○新型コロナ流行の中で、「介護の仕事をやめたいと思うようになったか」については「そう思う」と「ややそう思う」では30%であった。

○回答者の所属施設は、特養が28%、有料老人ホームが15%、老健が12%であった。

以上より、3回目のワクチン接種は9割程度がめざせそうである。施設内での感染の拡大を1度以上経験している人は36%であるが、対応経験のない施設に必要な対応をどう共有し、また支援するかは課題である。検査については2022年の2カ月で7割が経験しており、定期的な検査が浸透しつつあることがうかがえた。自分が仕事中に感染するのでは、または感染させるのでは、という両方の不安が約8割にあり、新型コロナ流行の中での心理的負担が多いと回答した人は9割であった。地域においても引き続き介護施設にできる支援を継続して考えて実践していくことが強く期待される。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症][介護福祉士]

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