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気管支拡張症[私の治療]

No.5110 (2022年04月02日発行) P.38

松本久子 (近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科学教室主任教授)

登録日: 2022-03-31

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  • 気管支拡張症は慢性下気道感染症に分類される症候群的疾患であり,種々の病因で生じる。咳・喀痰症状を伴い,時に気道感染の増悪,肺炎,血痰や喀血を併発する。末梢気道病変も伴いやすく,進行例では呼吸不全を呈する。多くは感染などを契機として気道の線毛機能やクリアランスが障害された結果,慢性炎症から気道上皮傷害や気道構造の破壊が生じ,形態学的に気管支が異常に拡張する。

    ▶診断のポイント

    胸部CT画像で,気管支の内径と伴走する肺動脈径の比が1を超える場合,気管支拡張あり,と判断する。加えて,咳・痰症状がある場合に気管支拡張症と診断する。喀痰微生物学的検索,血液像,血清IgG,抗CCP抗体,アスペルギルス特異IgE抗体測定などを行い,画像の経時変化も含め,原因や病態を評価する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ①咳・痰などの症状の軽減・QOLの改善,②急性増悪の減少,③疾患進行の抑制を,管理目標とする。その達成には薬物・非薬物療法が重要であり,特に気道クリアランス改善のための理学療法は,増悪を減らしQOLや咳嗽の改善,抗菌薬使用頻度の減少などが報告されており,積極的な介入が望まれる。インフルエンザや肺炎球菌ワクチン接種も行う。また,緑膿菌が初検出された際は,その除菌をめざすことが推奨されている(低エビデンス)。

    薬物療法のうち,去痰薬は喀痰排出を促し気道クリアランスを改善,咳・痰症状を軽減するため,一手目に用いる。ムコソルバン(アンブロキソール塩酸塩)は肺サーファクタントの分泌を促し,痰を滑らせて喀出させる。細菌のバイオフィルム形成を阻害する働きもある。ムコダイン(カルボシステイン)は,気管支拡張症の増悪を減らすとされる。

    マクロライド少量長期療法は気管支拡張症の感染増悪を減らし,呼吸機能・QOLを改善するため,頻回増悪例では導入を考慮する。現在わが国で保険適用があるのは,クラリスロマイシンのみ(好中球性炎症性気道疾患として)であるが,Mycobacterium avium complexの耐性菌を誘導しうるため,注意する。アジスロマイシン水和物は,エリスロマイシンやロキシスロマイシンに比し有効性が高いとされる。いずれも薬剤相互作用,QT延長,耐性菌出現などに注意する。

    気流閉塞が進行し,息苦しさを訴える例では,長時間作用性気管支拡張薬の併用も考慮する。吸入ステロイドは,喘息合併例〔および,慢性閉塞性肺疾患(COPD)で適応のある例〕以外は使用しない。急性増悪による入院リスクや,気管支拡張症の全死亡率の増加に吸入ステロイドが関与する,とする報告もある。

    咳・痰が増加し,抗菌薬投与が必要となる急性増悪時は,喀痰培養を提出後,抗菌薬を開始し,(7~)14日間投与する。ネブライザー吸入,呼吸理学療法も併用する。血痰出現時には,安静を保ち止血薬を投与する。頻回の血痰,喀血時には気管支動脈塞栓術などの介入が必要な場合もあり,救急受診させる。

    なお,アレルギー性気管支肺真菌症や肺非定型抗酸菌症等,原因疾患が明らかな場合は原因疾患に対する治療も十分行う。

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