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慢性呼吸不全[私の治療]

No.5108 (2022年03月19日発行) P.40

武井 望 (北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室)

木村孔一 (北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室)

鈴木 雅 (北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室講師)

登録日: 2022-03-22

最終更新日: 2022-03-15

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  • 呼吸不全とは「呼吸機能障害のため動脈血ガス(特に酸素・二酸化炭素)が異常値を示し,そのために正常な機能を営めない状態であり,室内空気呼吸時の動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下となる呼吸器系の機能障害,またはそれに相当する状態」と定義される。その中でも呼吸不全の状態が少なくとも1カ月以上続いた場合に慢性呼吸不全と定義される。動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が45Torr以下はⅠ型呼吸不全,45Torrを超えるものはⅡ型呼吸不全に分類され,PaCO2を評価することは治療方針の決定の上で必須である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    低酸素血症の臨床症状として頻脈,動悸,高血圧,頻呼吸をきたし,慢性呼吸不全においては主に労作時の呼吸困難感が症状の中心であることが多い。軽症では屋外動作,坂道や階段昇降などの際に息切れを感じ,重症化すると屋内動作(入浴,更衣,トイレ歩行)でも息切れを感じ,日常生活が困難となる。Ⅱ型呼吸不全では,頭痛,発汗,高血圧,羽ばたき振戦,意識障害をきたす。症状の進行速度や患者の呼吸調節系の鋭敏さによっても症状は異なる。また,基礎疾患に伴う臨床症状がさらに付随する。

    【基礎疾患】

    慢性呼吸不全をきたす疾患は,①呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患,肺結核後遺症,気管支拡張症,間質性肺炎,肺癌),②循環器疾患(慢性心不全,肺高血圧症,肺血栓塞栓症,肺血管奇形,先天性心疾患),③神経・筋疾患(筋萎縮性側索硬化症)・胸郭の変形(脊椎後側弯症)などがある。

    【検査所見】

    定義から,診断には動脈血ガス分析を行う必要がある。PaO2 60Torr以下をもって呼吸不全とするが,PaCO2 45Torr以下の場合をⅠ型呼吸不全,PaCO2 45Torrを超えるものはⅡ型呼吸不全と分類され,後者には肺胞低換気が病態に関与する。

    慢性Ⅱ型呼吸不全の多くにおいて,呼吸性アシドーシスは腎性に代償されpHは正常値近くに保たれているが,基礎疾患の増悪,急性の病態(肺炎,気胸など)や過剰な酸素投与が加わるとpHがアシデミアに傾き,CO2ナルコーシスをきたす可能性があることに注意を要する。

    パルスオキシメーターによりSpO2を測定することで動脈血ガスの代用とすることもあるが,一般的な状態においてPaO2 60TorrはSpO2 90%に相当するものの,体温の上昇・PaCO2の上昇などでその関係性は変化するため,正確性の観点やⅡ型呼吸不全の検出ができないことから,動脈血ガス分析の実施も必須である。また,安静時と比較して運動時や睡眠時に強い低酸素血症が起こる場合があるので,安静時以外の酸素飽和度も評価する。

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