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オンライン診療初診は251点、外来感染対策に加算新設─2022年度診療報酬改定答申【まとめてみました】

No.5104 (2022年02月19日発行) P.14

登録日: 2022-02-16

最終更新日: 2022-02-16

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中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は2月9日、2022年度診療報酬改定案を了承し、後藤茂之厚労相に答申した。新型コロナウイルスの感染拡大により、医療提供体制が何度も崩壊寸前の状況に陥ったことを踏まえ、医療機能の分化・連携やデジタル化の強力な推進が盛り込まれた内容となった。本欄ではクリニック経営への影響が予想される主な改定項目について詳報する。

2022年度改定の焦点の1つとなっていたオンライン診療については、情報通信機器を用いた場合の初診について評価を新設、初診料は251点とした。2018年度改定で導入された再診を対象としたオンライン診療料は廃止、再診料(情報通信機器を用いた場合)は73点とした。

オンライン診療を巡っては、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚労省は医療へのアクセスを確保するために、2020年4月から初診を含めた「電話・オンライン診療」を時限的特例措置として容認。診療報酬は初診料214点と対面(288点)の約74%に抑えられた。対面に比べ低い診療報酬の評価が、オンライン診療の普及を妨げる要因の1つとされてきた。

21年6月には政府が規制改革実施計画で初診からのオンライン診療の恒久化を決定。2022年度改定を巡る中医協の議論は、オンライン診療の評価や算定要件、施設基準が大きな争点となった。改定の議論が大詰めを迎えた1月28日の中医協総会では、初診料と医学管理料の評価を巡り、診療側・支払側双方の意見調整が難航、公益裁定となり、「対面診療の点数水準と時限的・特例的な対応の水準の中間程度」とする方向が決まった。

最終的には初診料と医学管理料は共に対面の約87%に設定、再診料は対面、時限的・特例的対応の電話等再診と同じ73点とした。医学管理料については、特定疾患療養管理料や小児科療養指導料など現在の対象管理料(検査料が包括されている地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣管理料は除外)に加え、ウイルス疾患指導料、皮膚科特定疾患指導管理料、がん患者指導管理料など14種類が新たに算定可能となった。

 

距離・時間要件と実施割合要件が撤廃

算定要件の見直しも行われた。現行のオンライン診療料における「日常的に通院または訪問による対面診療が可能な患者(概ね30分以内に通院・訪問が可能)を対象とする」「1月当たりの『再診料』等と『オンライン診療料』の算定回数に占める『オンライン診療料』の割合は1割以下とする」という要件は撤廃、大幅に緩和された。

日本医師会の中川俊男会長は9日、中医協答申後の記者会見で、距離・時間要件の撤廃などの規制緩和が地域医療に与える影響を懸念し、「患者の安心・安全が損なわれたり、地域医療を混乱させたりするような事象が生じた場合には、期中であっても速やかに診療報酬要件の見直しを要請する」との考えを示した。中医協委員の松本吉郎常任理事は、過疎の地域などにおけるオンライン診療のメリットを認める一方で、遠隔地にある医療機関がオンライン診療を実施できるようになることを踏まえ、「これまで地域のかかりつけ医として対面診療や訪問診療を行ってきた医療機関が撤退する可能性もあり、どういう動きになるか注視する必要がある」と述べた。

「外来感染対策向上加算」は6点

このほか外来で注目されるのは、診療所について、平時からの感染防止対策や地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策への参画を推進するために新設された「外来感染対策向上加算」。患者1人につき月1回6点を算定できる。専任の院内感染管理者の配置や「感染対策向上加算1」の届出医療機関または地区医師会が主催する院内感染対策にカンファレンスや新興感染症の発生等を想定した訓練への参加、発熱外来の実施などが主な施設基準となる。

また同加算の届出医療機関が、感染対策向上加算1の届出医療機関に対し定期的に院内の感染症発生状況を報告している場合や地域のサーベイランスに参加している場合の評価として患者1人につき月1回算定可能な「連携強化加算(3点)」「サーベイランス強化加算(3点)」をそれぞれ新設した。

リフィル処方、29日までは減算なし

22年度改定では、昨年末の後藤厚労相と鈴木俊一財務相の折衝で導入が決定したリフィル処方箋も大きなトピックの1つとなった。リフィル処方箋は、「症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる」仕組み。医師がリフィルによる処方が可能と判断した場合は、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入。総使用回数の上限は3回までとされた。

現在、投薬日数は医師の裁量に委ねられており、特定の薬剤を除き制限はないが、30日以上の長期処方には処方箋料の減算規定(40%)が設けられている。リフィル処方箋では、1回当たりの投薬期間が29日以内の場合、減算規定は適用されない。投薬期間は、医師が患者の状態などを踏まえて判断する。

日医の中川会長は「定期的に患者を診察し医学的管理を行うことが、まさに安心・安全で質の高い医療と考えている」とした上で、「新しい制度を導入する際には慎重かつ丁寧に対応することが求められる」と丁寧な対応を求める考えを示した。

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