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プロゲスチン製剤による,子宮内膜症や月経困難症への治療

No.5103 (2022年02月12日発行) P.49

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科医長)

登録日: 2022-02-10

最終更新日: 2022-02-08

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子宮内膜症による月経痛がひどく,日常生活に支障をきたしている女性(19歳)にホルモン療法を提案したところ,「エストロゲンは血栓症を起こすことがあるので」と拒否されました。プロゲステロンのみを処方する治療法もあるようですが,その使い方をご教示下さい。(東京都 F)


【回答】

 【血栓症リスクのある患者にお勧めできる。ただし,不正出血が出やすく子宮頸癌が見逃される危険性があるため,定期検診を推奨する】

低用量ピルにはエストロゲンが含まれるため,血栓症リスクのある患者への投与が難しく,前兆のある片頭痛,35歳以上で1日15本以上の喫煙,手術前4週間以内などでは“投与禁忌”,また40歳以上,高血圧症の女性では“慎重投与”となっています。そんなときに使えるのが,黄体ホルモン(プロゲスチン)単剤の薬剤です1)

黄体ホルモンは,体の中でつくられる天然型を「プロゲステロン」,人工的につくられたものを「プロゲスチン」と呼んでいます。ジエノゲスト(ディナゲスト®)は2008年に発売されたプロゲスチン製剤で,卵巣からのエストロゲン産生と子宮内膜が厚くなるのを抑制し,子宮内膜症や月経困難症(月経痛,腰痛,下腹部痛)を改善する効果があります2)(表1)。

【処方】

①子宮内膜症や子宮腺筋症の疼痛の改善目的
ディナゲスト®1mg 1回1錠 1日2回 内服

②月経困難症の治療目的
ディナゲスト®0.5mg 1回1錠 1日2回 内服

処方前に必須の検査はありませんが,不正出血が出やすく子宮頸癌が見逃される危険性があるため,子宮頸癌検診(2年に1回の対策型検診)を推奨します。初回内服は,妊娠していない可能性が一番高い月経開始2~5日目から開始し,休薬せずに内服を継続します。

また,毎日決まった時間に内服することで,不正出血が起こりにくくなります。他の注意事項として,低用量ピルと異なり避妊効果はないため,コンドームの使用等を推奨します。

なお,865人を対象にした研究では,投与6カ月時点で78.4%に痛みの改善を認めました3)

ただし,18歳未満の思春期の患者に52週間長期投与した研究では,骨密度の低下(−1.2%)を認めているので,最大骨塩量に達していない年齢の患者に1年以上投与するときには,骨密度に注意して下さい4)

【文献】

1)柴田綾子:医事新報. 2020;5036:56-7.

2)Andres Mde P, et al:Arch Gynecol Obstet. 2015;292(3):523-9.

3)Techatraisak K, et al:BMC Women's Health. 2019;19(1):68.

4)Ebert AD, et al:J Pediatr Adolesc Gynecol. 2017;30(5):560-7.

【回答者】

柴田綾子 淀川キリスト教病院産婦人科医長

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