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特発性正常圧水頭症[私の治療]

No.5102 (2022年02月05日発行) P.45

山本一夫 (洛和会音羽病院脳神経外科部長)

登録日: 2022-02-06

最終更新日: 2022-02-01

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  • 特発性正常圧水頭症(iNPH)とは,くも膜下出血や髄膜炎などの二次性の原因がない状態で脳室の拡大を生じ,脳機能が徐々に障害され歩行障害,認知症,尿失禁などを発症する疾患である。脳脊髄液の吸収障害がその原因と考えられているが,吸収障害の明確な原因はいまだ不明である。高齢者に圧倒的に多く,有病率は0.2~3.7%,罹患率は年間およそ120/10万人と推定されている。
    高齢者の日常生活動作を障害する原因となるが,外科治療により改善することからtreatable dementiaとも言われ,的確な診断と治療を行うことが非常に重要である。

    ▶診断のポイント

    歩行障害,尿失禁,認知症の三徴がよく知られている。歩行障害の特徴として,小刻み,すり足,開脚歩行がある。歩行障害や認知症は緩徐に進行することが多い。CTやMRIで脳室拡大を呈する。iNPHに特徴的な画像所見として,DESH(disproportionately enlarged subarachnoid space hydrocephalus=脳室拡大,シルビウス裂拡大,高位円蓋部・正中部脳溝狭小化)がある。

    鑑別診断として脳血管性認知症,アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症や進行性核上性麻痺などがある。また,これらの疾患を合併することも少なからずあるので注意を要する。

    臨床経過と画像所見から診断を行った後に,脳脊髄液排除試験(tap test)を行う。この試験は特異度の高い診断法で,かつ外科治療の有効性を予測する指標となる。歩容の客観的指標としてTimed Up and Go test(TUG),認知機能の指標としてMini-Mental State Examination(MMSE),Frontal Assessment Battery(FAB)などが用いられる。当院では入院の上,医師,看護師,理学療法士,言語療法士によるチームにより,tap test前後の歩容や認知機能の変化を前述の指標などを用い客観的に評価することで,診断精度向上をめざしている。

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