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肥厚性幽門狭窄症[私の治療]

No.5096 (2021年12月25日発行) P.52

石丸哲也 (埼玉県立小児医療センター小児外科医長)

登録日: 2021-12-22

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  • 新生児,乳児早期に幽門筋が肥厚して幽門管が狭小化し,胃内容の通過障害をきたす。男女比は4~5:1で男児に,また第1子に多い。病因は明らかとなっていないが,幽門筋肥厚は一過性のものであり,生後半年程度で軽快することが知られている。

    ▶診断のポイント

    生後2~3週頃からの噴水状嘔吐という特徴的な現病歴から本症を疑い,腹部超音波検査による幽門筋肥厚の同定(または腹部触診によるオリーブ様腫瘤触知)で確定診断する。

    【症状】

    生後2~3週頃より嘔吐がみられ,徐々に典型的な噴水状嘔吐となる。哺乳後にミルクや胃液(非胆汁性)の嘔吐を繰り返し,嘔吐直後でもミルクを欲しがる。発症から受診までの時間が長いと脱水による活気不良,乏尿,体重減少をきたすこともある。

    【腹部所見】

    心窩部やや右側に肥厚した幽門部を,硬いオリーブ様の腫瘤として触知する。患児が啼泣していると触知が困難なことも多い。

    【検査所見】

    頻回嘔吐による胃液喪失から低Cl性代謝性アルカローシス,電解質異常を示すことがあるため,血算,生化学,血液ガス所見にて脱水の有無とともに評価を行う。

    腹部単純X線撮影では,著明な胃泡の拡張と腸管ガスの減少・消失(single bubble sign)が特徴的である。亢進した胃蠕動運動を反映して胃泡がくびれて見えることもある。また,発症初期には腸管ガスが観察されることもある。

    腹部超音波で幽門を観察し,短軸像で幽門筋厚が4mm以上,長軸像で幽門管長が15mm以上あれば診断確定となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    当科では,内科的治療(硫酸アトロピン療法)と外科的治療(腹腔鏡手術)の両方を保護者に説明し,相談の上で治療方針を決定している。外科的治療が選択された場合には,脱水,アルカローシスおよび電解質異常が十分に補正されたことを確認してから手術にのぞむことが肝要である。特に本症に特徴的なアルカローシスについては,補正せずに手術を行った場合,術後無呼吸のリスクがあると言われており,注意を要する。

    文献上,わが国では本症患児の約3割に硫酸アトロピン療法が行われており,成功率は73%と報告されている1)。一方,欧米では手術が標準治療である2)

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