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有棘細胞癌[私の治療]

No.5094 (2021年12月11日発行) P.41

安齋眞一 (日本医科大学武蔵小杉病院皮膚科・皮膚病理診断室教授)

登録日: 2021-12-11

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  • 有棘細胞癌は,表皮角化細胞に分化した腫瘍細胞から成る悪性腫瘍である。上皮内病変として,日光角化症あるいはボーエン病を有することがほとんどであるが,その他ケラトアカントーマ内に発生するもの(ケラトアカントーマ様有棘細胞癌)や角化性囊腫の壁より生じるもの(囊腫型有棘細胞癌),瘢痕に生じるものなど種々の亜型が知られている。

    ▶診断のポイント

    【臨床像】

    前駆する上皮内有棘細胞癌により好発部位は異なるが,全体からみれば顔面を主体とする露光部の発生が全体の2/3程度と多い。皮膚色あるいは紅色の不整形の隆起性腫瘍を形成し,しばしば皮膚潰瘍を伴う。腫瘍の周囲には,時に上皮内癌である日光角化症やボーエン病に相当する紅斑性局面を伴う。

    【病理組織像】

    病理組織像は,基本的に腫大し異型性のある核を持つ角化細胞が不規則に増加し,真皮網状層以下に浸潤性に増殖するのが特徴である。通常,上皮内有棘細胞癌から連続して病変が形成されるが,皮膚潰瘍を伴うと上皮内病変がはっきりしないこともある。
    種々の亜型が知られているが,頻度から言えば,上皮内癌として日光角化症を持つ日光角化症型が最も多く,全体のおよそ半数を占める。上皮内癌としてボーエン病を持つボーエン型,さらにはケラトアカントーマ内に生じるケラトアカントーマ様有棘細胞癌がそれにつぐ。

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