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【識者の眼】「緊急事態宣言が解除されてから当面の生活はどうなるのか」和田耕治

No.5084 (2021年10月02日発行) P.61

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2021-09-22

最終更新日: 2021-09-22

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ワクチン接種や感染対策の推進があるとはいえ、デルタ株においても感染者数を減少に転じさせられたことは今後において大きな自信になる。一方で、減少している時には感染拡大リスクの高い場へ行くこともやや楽観的になる。そうした圧力が自治体に及ぶと、Go Toに関連した事業も再開される。

9月末で緊急事態宣言が解除される可能性がでている中で、今こそ、自治体はその後にまん延防止等重点措置になった場合や、一気に重点措置も含めて解除になった場合に、どういう生活を市民に求めるのかを具体的に示す必要がある。リバウンドの可能性はいつでもあり、慎重に対応をしていくことが求められる。特に飲食や飲酒の場面は人数制限や営業時間をどうするか。人の移動などをどうするか。

冬に向けて鍵となるのはワクチン接種者の割合をどこまで増やせるかである。筆者は、自治体や医療者はもっとワクチン接種を市民に呼びかけてはどうかと考えている。特に、ワクチン接種がどこでできるかわからない、接種券が見当たらない、予約をしたいけどとれなくて諦めたような人に対してアプローチが必要である。

しかし、米国で行われたような「宝くじ」など経済的なことで若者にワクチン接種を促すことは公衆衛生の観点からは好ましいことではないと考えている。一方、ワクチン接種をすることで、これまでできなかったことができるようになるというのは、接種のメリットがより具体的に伝わると考えている。

できることを議論するなかで、会食、イベントなどのハイリスクの場面が議論されがちだが、感染拡大のリスクは比較的小さいのにまだ皆が遠慮していて実施できていないようなことをもう少しできるようにする必要があると考えている。

特に地方では、市民の間でお互いに厳しい対策を求めているところが多い。都市からの往来も、子供や孫に「帰省しなくて良い」「周りの目もあるので来ないでほしい」という対応が聞かれる。地元を守るということもあるのだが、こうしたことこそ、時期は分散化しつつ、ワクチン接種者などの帰省はできるようにしていきたい。また、近くの温泉などに家族だけで密を避けながら行くということもできないわけではない。

我慢してきた人が少しでも、冬になる前にできなかったことができる時期を作りたいが、制限がないと、2〜3週間でリバウンドは起きえるだろう。

※この原稿は9月21日に執筆しました。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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