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家族性大腸腺腫症[私の治療]

No.5081 (2021年09月11日発行) P.34

石川秀樹 (京都府立医科大学分子標的予防医学特任教授)

登録日: 2021-09-10

最終更新日: 2021-09-08

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  • 家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)は,大腸に腺腫が多発する常染色体優性遺伝性疾患である。大腸に100個以上の腺腫を有する,または,大腸の腺腫数が10〜100個未満であるが本疾患に矛盾しない家族歴を有する場合はFAPと診断される。APC遺伝子の病的バリアントが認められれば,大腸腺腫数や家族歴にかかわらずFAPと診断される。わが国の患者数は約7300人と推定されている。大腸外病変として胃・十二指腸腺腫や胃底腺ポリポーシス,腹腔内デスモイド,甲状腺癌,骨腫などを認めることが多い。

    ▶診断のポイント

    大腸に腺腫が100個以上認めた場合,本疾患を強く疑う。両親のどちらかが本疾患に罹患している場合,子どもは1/2の確率で遺伝している。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    診療ガイドラインに記されているFAPの大腸癌予防のための唯一の治療法は予防的大腸切除術である。手術は20歳代で行うことが多い。術後にも回腸囊に腺腫が発生することがあり,術後はデスモイド腫瘍の発生する可能性が高まるため,大腸切除後も残存腸管および全身のサーベイランスが必要である。

    最近になり,大腸内視鏡治療手技の進歩とともに,大腸切除をせずに内視鏡にて大腸ポリープを徹底的に摘除することにより,大腸手術時期を遅らせたり,避けたりするための研究的治療が行われてきている。ただし,内視鏡的にポリープを多数摘除する技術が必要なため,内視鏡的大腸ポリープ徹底的摘除は専門施設で行うことが望ましい。

    胃や十二指腸の腺腫に対しては定期的な上部消化管内視鏡検査,甲状腺癌,腹腔内デスモイドに対しては定期的な甲状腺,腹部超音波検査にて経過観察を行う。

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