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脳脊髄液減少症[私の治療]

No.5074 (2021年07月24日発行) P.36

梁 成勲 (国際医療福祉大学熱海病院脳神経内科,脳卒中・神経センター脳神経内科副部長)

永山正雄 (国際医療福祉大学大学院医学研究科脳神経内科学教授,同大学熱海病院脳卒中・神経センター長)

登録日: 2021-07-26

最終更新日: 2021-07-19

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  • 脳脊髄液減少症は,脳脊髄液減少症研究会が2007年に発表した「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」1)において,「脊髄液腔から脳脊髄液が持続的ないし断続的に漏出することによって脳脊髄液が減少し,頭痛,頸部痛,めまい,耳鳴り,視機能障害,倦怠など,様々な症状を呈する疾患」と定義された。脳脊髄液減少症は,低髄液圧症と脳脊髄液漏出症を含む疾患概念でもある。低髄液圧症は,低髄液圧と起立性頭痛を認める病態であり,脳脊髄液漏出症は,脳脊髄液減少症の中核をなし,脳脊髄液が漏出する病態である。原因として,腰椎穿刺後,脳室-腹腔シャント,頭部・脊椎脊髄外傷後,特発性などがある。

    脳脊髄液減少症は,70年以上も前に提唱された疾患概念であり,その後名称の変遷と多くの診断基準が発表され,診断に混乱をきたしていた。それに加え2000年より交通事故などに伴う頸椎捻挫やむち打ち症によっても脳脊髄液減少症が起こりうるとし,脳脊髄液減少症と交通外傷の因果関係が社会的に大きな関心を集めた。このような状況のもと,脳脊髄液減少症の病態解明と治療法の確立を目的に,2007年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策支援総合研究事業「脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究班」が組成された2)。同研究班は,これまでに発表された診断基準に解釈の相違がみられたため,脳脊髄液減少症の臨床概念を検証し,本症に関連する学会の承認のもと「脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準」を2011年10月に公表し,2019年7月5日には12年間に及ぶ研究成果をふまえて新たな診療指針を発表した。現行の診断基準に当てはまらない程度の小さな髄液の漏れを診断対象に含める上,指針を使うこととなり,新たな指針により本症と診断される患者はさらに増えることが予想される。

    ▶診断のポイント

    脳脊髄液減少症の診断の際には医療面接と身体診察で他の疾患との鑑別診断を行い,適切な検査方法を選択し,総合的に診断する必要がある。

    【医療面接】

    医療面接は重要であり,脳脊髄液が減少することで生じる症状を確認することである。特に起立性の頭痛や体位による症状の変化は典型的である。脳脊髄液の減少による症状は多彩であり,症状の出現には,脳沈下で血管・神経の牽引による直接的な障害によるもの,血液循環障害によるもの,髄液循環障害によるものがあり,起立性頭痛を含む痛み,脳神経症状,脊髄症状,自律神経症状,高次脳機能症状,倦怠感,免疫異常,内分泌症状まで多岐にわたる。

    【身体診察】

    鑑別診断を考慮しながら,脳・脊髄症状や高次脳機能障害によって起こる神経所見や自律神経障害の有無を確認する。

    【検査】

    「脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準」で使用する検査方法として,CTミエログラフィー,脊髄MRI/MRミエログラフィー,RI脳槽シンチグラフィーの検査法がある(表)3)。その他,造影脳MRIで脳脊髄液減少が評価でき,造影脳MRI所見として硬膜の肥厚,静脈拡張,下垂体の腫大がみられる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    脳脊髄液減少症は脳脊髄液が減少することによって多彩な症状が出現するため,脳脊髄液を増やすことが治療の基本である。以下,治療の組み立て方について,①脳脊髄液を増やす治療法,②脳脊髄液の漏出を止める治療法,③脳脊髄液の産生を増やす治療法,の3つにわけて解説する。

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